最新記事
DeepSeek

中国個人投資家が「AIモデル」に夢中...DeepSeekで一変した理由とは?

2025年3月12日(水)18時49分
DeepSeek

勝ち目がないなら手を組め――。これが「ディープシーク」などの人工知能(AI)を投資に取り入れ始めた中国の個人投資家らの合い言葉だ。1月27日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

勝ち目がないなら手を組め――。これが「ディープシーク」などの人工知能(AI)を投資に取り入れ始めた中国の個人投資家らの合い言葉だ。政府がコンピューター主導のクオンツトレーダーらを取り締まり、「吸血鬼」呼ばわりされた昨年とは様変わりした光景が広がっている。

オンラインでは短期集中コースが続々と生まれ、街の教室はAIモデルを使って市場平均以上の利益を得ようと目を光らせる個人トレーダーでいっぱいだ。それ自体がクオンツファンドを後ろ盾とするディープシークの人気は、中国株式市場の流れを変えただけでなく、7000億ドル規模の中国のヘッジファンド業界に対する認識も一変させた。


 

個人投資家が支配する中国の株式市場では、ディープシークの急速な採用がブローカーや資産運用会社にも変化を起こすと同時に、投資家に新たなリスクももたらしている。

「これからはデジタルの時代だ。AIは必須になる」。2月のある週末、AIを使った取引を学ぼうと上海の教室に押し寄せた個人投資家を前に、ホン・ヤンジュン氏はこう語りかけた。「未来の戦争がドローンとロボット同士の戦いになるのと同じく、株式市場はコンピューター同士の戦場になる」

1年前、コンピューター主導のクオンツファンドは個人投資家から「吸血鬼」と悪し様に言われ、規制当局は市場に不公正さとボラティリティーを招いていると問題視。取り締まりの対象にしていた。

しかし先月の週末、自動取引戦略を採用する中国のヘッジファンド、アルファ・スクエアド・キャピタルの創業者マオ・ユーチュン氏が開いたAIを使った株式取引の講座には、1人当たり1万5800元(2179.91ドル)の受講料を払う個人投資家が集まった。主催者が売り物にしたのは、ディープシークの親会社ハイフライヤー・クオント(幻方量化)とアルファ・スクエアドの地理的近さだ。

中国のAI新興企業ディープシークは低コストで大規模言語モデル(LLM)を構築して米シリコンバレーをあっと言わせ、中国株上昇の立役者となった。

先端医療
手軽な早期発見を「常識」に──バイオベンチャーが10年越しで挑み続ける、がん検査革命とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中