人民元下落の観測強まる...トランプ関税で通貨安合戦も
INGの中華圏担当エコノミスト、リン・ソング氏は、関税の影響を相殺するために人民元が「直ちに10─20%切り下げられる」という観測が一部で出ていることについて、「われわれは、そうした意図的かつ急激な切り下げは予想していない。関税に対抗すれば、米国にあっさり為替操作と認定され、さらなる関税引き上げに遇いかねないため効果はない」と切り捨てた。
もっとも、最近シンガポールで行われたアナリストの説明会では、トランプ氏の通商政策が最大のワイルドカードと位置付けられた。また野村とMUFGのアナリストは人民元が下落するとの見方で一致した。
野村のグローバル為替ストラテジー責任者、クレイグ・チャン氏は人民元安容認に関するロイターの報道が出る前に「私見では、為替政策が柔軟になるだろう」と予想し、少数のアジア通貨に対するドルのロングポジション構築を推奨。「ドル/オフショア人民元のロングがその一つだ。5月末までのわれわれの目標レートは7.60元。激しく急速な動きになるかもしれない」と述べた。
MUFGのアナリストらは、中国製品に平均40%の関税が課せられると想定した場合、1ドル=7.5元まで人民元が下落すると予想。「中国製品に60%の関税がかかるなら、他の条件が同じだとした場合、人民元は(9月時点に比べて)対ドルで10―20%下がって7.8元かそれ以上安くなる必要がある」との試算を示した。
トランプ政権1期目には、米中の関税合戦を背景に2018年3月から20年5月にかけて人民元が対ドルで12%余り下落している。


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