最新記事
不動産

Amazonで買った「折り畳み式」住宅が意外なほどいい感じ、価格は2万ドルから...アメリカ住宅危機の救世主に?

Tiny Houses to the Rescue

2024年3月1日(金)18時57分
アレクサンダー・ファビーノ(経済・金融担当記者)
アマゾンで売られている付属住宅ユニット(ADU)

小型住宅は手の届く価格で人気。なかにはネットで購入できるものも YALCINSONAT1/ISTOCK

<住宅価格の高騰が続くアメリカで、3万ドル台の「離れ」のような小型住宅が注目されている>

ネット通販のアマゾンで家を買いました──そんなタイトルで、コンテンツクリエーターのネイサン・グレアムが投稿したTikTok動画が話題になったのは1月のこと。アメリカでは住宅価格の高騰が続き、多くの人にとって購入が難しいのが現状だ。

■【動画】アマゾンで販売中の3万ドル台「折り畳み式」住宅...意外なほどいい感じで、「買ってみた」動画が大ヒット

米国勢調査局によると、昨年12月のアメリカの住宅価格の中央値は41万3200ドル。グレアムが3万8999ドルで購入した住宅がTikTokで注目を集め、3200万近い再生数を稼いだのも不思議なことではない。

こうした「離れ」のような家は付属住宅ユニット(ADU)と呼ばれ、手の届く住宅が不足する現状への解決策となるかもしれない。ADUは近隣の住宅価格を抑えるのに一役買うし、住宅の購入希望者には手頃な解決策を提示する、と専門家は指摘する。

アマゾンの段ボールに入って配送されてきた

グレアムが購入したのは、チェリー・インダストリアル社の拡張可能なプレハブハウス。動画では、アマゾンの配送用段ボールを開けると、基本的な生活には十分な空間を備えた5.8メートル×6メートルほどの住居が出現した。

トイレや配管は組み込まれているが、電気は業者に工事を依頼する必要がある。同様のモデルは最低2万ドルから購入でき、従来の住宅と比べてかなり安価だ。

不動産仲介会社レッドフィンのチーフエコノミストであるダリル・フェアウェザーは、これらの小型で独立した住宅は、住宅戸数を増やし、手頃な価格の住宅供給を促進し、副収入を生み出すツールにもなり得ると本誌に語った。

「ADUは住宅数を増やすツールの1つだと、私は考えている。集合住宅の建設を促進する政策と組み合わせれば特にそうだ。それで住宅の密集度が高くなれば、価格の引き下げも見られるだろう」

一部の州ではADUを後押しする法案も可決

22年12月時点で住宅価格の中央値が77万4580ドルだったカリフォルニア州では、既にそうした事態が起きている。フェアウェザーによれば、カリフォルニアは「自分の敷地内にADUを建設できるように土地利用規制を緩和する」ことで住宅危機と闘っている。

コネティカット州やメーン州、ニューハンプシャー州などでもADUは議員の注目を集めており、建設に有利な法案が可決された。

だが、ADUに住むのは自分のライフスタイルに合わない人もいるだろう。そのときには、副収入につなげればいいとフェアウェザーは言う。「地域内で家を借りたり購入する予定の親族に貸すという手もある」

ニューズウィーク日本版 非婚化する世界
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月17日号(6月10日発売)は「非婚化する世界」特集。非婚化と少子化の波がアメリカやヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中