最新記事
仕事術

部下がなぜか自発的に動きはじめてしまう、「具体化」の魔法とは?

2023年11月10日(金)11時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
パソコン

alphaspirit.it-shutterstock

<部下の仕事は、上司の指示に従うことではなかった...。「要望の具体化」について>

いま、ビジネスで有効だと言われているのが「具体と抽象」という概念だ。企業コンサルタントの谷川祐基氏は「具体化と抽象化だけで、仕事の10割はうまくいく」と言う。それはなぜか?

社内コミュニケーション、会議、トラブル、仕事への情熱など、仕事上の課題をすべて「具体と抽象」で解決する、新刊『仕事ができる 具体と抽象が、ビジネス10割解決する。』(CCCメディアハウス)より一部抜粋する。

◇ ◇ ◇

「部下の仕事は、上司の指示に従うこと」ではない

上司と部下がいた場合、部下の仕事とは何だろうか? 一般に広まっている考えは「部下の仕事は、上司の指示に従うことである」というものである。しかしこの考えは、はっきりと間違いである。

もっとも、私が「部下の仕事は、上司の指示に従うことではありません」と言うと、必ず反論が来る。

「確かにね、上意下達の関係が、理想の部下と上司の関係ではないですよ。でも、上司と部下が友達のような関係だったり、部下が反抗していたりしたら仕事はまわらない。多少不満があったとしても、部下が上司の指示通り行動しないと組織は崩壊してしまいますよ」

その通りである。部下が行動しなかったり、上司の指示と違うことをしだしたら組織は崩壊する。それでも私は「部下の仕事は、上司の指示に従うことではない」と断言する。

「部下の仕事は、上司の指示を具体化すること」

では、本当の部下の仕事とは何かというと、ここで先程(編集部注:1回目記事)の90度回転させた組織図(図2)を思い出してもらいたい。基本的に、上司は抽象側を担当し、部下は具体側を担当する。

zu2-20231107.jpg

部下の本当の仕事は、「上司の指示を具体化すること」である。これは、わずかな言葉の差のように見えるが、何が違うのだろうか? 

実は、このわずかな言葉の差が、決定的な結果の差を生み出すのである。まず、「部下が上司の指示に従う世界」でどんなことが起こっているか見てみよう。

善良で真面目な人もパワハラ上司になってしまう理由

第一に、この世界では「指示待ち人間」が増える。「指示待ち人間」とは、自発的に動かず、上司の指示がないと行動できない人間のことだが、指示に従うように教育されているので当然である。

これをなんとかしようと「指示待ち人間になるな!」という「指示」を出しても、当然解消しない。

さらに深刻な問題が、必要以上に高圧的な上司が増えることだ。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国

ワールド

ロシア中銀が0.5%利下げ、政策金利16% プーチ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中