最新記事
仕事術

部下がなぜか自発的に動きはじめてしまう、「具体化」の魔法とは?

2023年11月10日(金)11時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「部下の仕事は、上司の指示に従うことである」という言葉を反対側の上司から見ると、「上司の仕事は、部下を指示に従わせることである」となる。部下が指示通りに動かないと、仕事にならないのだ。

いざ指示通りに動かない部下がいたらどうするのかというと、アメとムチを使うしかない。

とはいえ中間管理職の権限では「これやったらボーナス出すよ!」とか「これをやったら昇進だよ!」というようなアメはなかなか出せない。

必然的にムチを使う。声を張り上げ、権力をちらつかせ、お尻を叩いて部下を従わせようとする。他に手段がないのだ。

パワハラ好きでマウントをとることに喜びを感じる上司だけが高圧的になるのではない。この世界では、善良で職務に忠実なだけの上司も高圧的になっていくのだ。

部下からしても、これはつらい世界である。なぜなら、自分の仕事を変えるには、上司の指示を変える必要がある。

やりたいことをやるためには上司の指示を変えなければいけないわけだが、よく言われる通り、他人は変えられない。変えられるのは自分だけである。上司の指示を変えられない以上、淡々とやりたくない仕事を続けなければならない。

このように、「部下が上司の指示に従う世界」では、指示待ち人間が増えて仕事が進まず、上司はいつも部下を怒鳴りつけ、部下はやりたくない仕事をいやいやする。部下も上司も幸せになっていない。つまり、この世界は間違っているのだ。

忠実でも仕事ができない人に足りないのは「具体化」

では次に、真実の世界、「部下が上司の指示を具体化する世界」では何が起こるのかを見ていこう。


高木 「この本はイラスト使うからさ、ちょっと見積もりとってよ」
澤田 「あ、はい。分かりました。イラストレーターは誰に依頼しますか?」
高木 「お任せするよ。あ、でも相見積もりとりたいから、3人ぐらい声をかけといてよ」
澤田 (うーん、とりあえず先月お願いした粟島さんに声をかけるか......)
澤田 「粟島さん! 今月もお願いします! イラストを描いて欲しいので、見積もりをください!」
粟島 「あ、はい。分かりました。何点ぐらいのイラストですか?」
澤田 「あ、ちょっと確認しておきます」
粟島 「それで、納期はいつでしょう?」
澤田 「あ、それも確認しておきますね」
粟島 「......。対象読者は男性でしょうか? 女性でしょうか?」
澤田 「あ、それも編集長に聞いてみます!」
粟島 「......」

さて、果たして澤田君は仕事をしているのだろうか? 

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米11月中古住宅販売、0.5%増の413万戸 高金

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中