最新記事
キャリア

職場では「あえて負ける」──長い目で見ればプラスになる理由について

2023年5月24日(水)12時52分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Wi‒Fiの設定が違っていたとか、機内モードになっていた、通知設定がオフになっていたのを故障と勘違いしたなど、設定が原因でサービスセンターを訪れるユーザーはかなり多い。

この問題に対する解決策として、「設定項目の配置を自由に変えられるようにしてはどうか」というアイデアが出たことがある。よく使われる項目はせいぜい10個程度だから、その並び順や位置をユーザーが自分で動かせる仕組みにしようというわけだ。

しかし、この案は結局、実現しなかった。アイデアそのものが悪いわけではなく、発売後にお客様サポートセンターを運営する費用が数倍に膨れあがるからだ。

このようなユーザー設定機能はコールセンター(外注となることが多い)のオペレーター教育に追加費用がかかるばかりか、ユーザーが変更を加えた画面の状況をオペレーターが把握し、問題点を解決するまでに時間がかかる。

通話数と時間が増えるほどかかる費用も増え、得より損のほうがずっと大きくなる。こうした制約があるにもかかわらず、デザイナーがユーザビリティ(使用性)を強調してゴリ押しすれば、会社に損害を与えることになりかねない。

優先順位をつける

製品開発プロセスにおいて、全員が満足していて、まったく何の問題もないという状況はあり得ない。解決すべきイシューに優先順位をつけて、一緒に働く人々と意見のすり合わせを行い、落としどころを探っていく。

では、どんなふうに優先順位を決めればいいのか? 私は、次のようなポイントを基準にしている。

1 頻度。どれくらい頻繁に発生する問題なのか?

2 可視性。ユーザーにどれほど露呈しやすい問題なのか?

3 致命度。ユーザーが一瞬イラッとする程度の問題なのか、製品の交換や返金を要求されるレベルなのか、法的な問題になる恐れがあるほどなのか、ブランドイメージに致命的な影響を及ぼす問題か、消費者の製品理解度や初期セッティング、購買を妨害するイシューなのか、など。

こんなふうに基準を決めておくと、問題の大小がはっきりして、自分の主張の根拠が明確になる。その結果、お互い納得できる妥協点を見つけやすくなる。

やらないこと

我を張ってはいけない

自分と同じように、一緒に仕事をする相手にも立場というものがある。自分だけが正しいと思い込んでしまわないように、いつも気をつけておきたい。開かれた心でさまざまな意見を聞いて、自分の意見を調整していこう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米議会、「麻薬運搬船」攻撃の無編集動画公開要求 国

ワールド

財政信認失うことないよう、国債管理政策「さらに適切

ワールド

トランプ氏、メキシコに5%追加関税警告 水問題巡り

ワールド

トランプ氏、オバマケア巡り保険会社批判 個人への直
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    米、ウクライナ支援から「撤退の可能性」──トランプ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中