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中国では600万部突破──稲盛和夫の『生き方』が世界の人々の心を揺さぶった訳

2023年4月5日(水)18時21分
flier編集部

──植木社長ご自身が『生き方』や稲盛先生から受けた影響はありますか?

稲盛先生からはさまざまな影響を受けました。『生き方』を出版した後の2005年、盛和塾に入塾いたしまして、経営者としてたくさんの勉強をさせていただきました。なかでも、先生がお話をされたDVDを見る、DVD勉強会が印象に残っています。繰り返し見ていると、その時々に自分が抱えているものによって、お話の違うところが気になったり、別の学びがあったりするんですね。そういう点でも、経営者としてやるべきことを学ばせていただきました。

稲盛先生の言葉にも影響を受けました。『生き方』には、「手の切れるような製品をつくれ」と言って、稲盛先生が研究者にやり直しを命じたエピソードがあります。「手の切れるような製品」は私の大好きなフレーズです。これこそ「ブランニュー」じゃないですか。研ぎ澄まされた熱意が感じられます。

「もうダメだというときが仕事のはじまり」という稲盛先生の言葉もありますね。こう考えるのはけっこうしんどいことでもありますが、それこそが仕事のはじまりなのだと自分を奮い立たせることができます。

先生が亡くなられたと聞いたのは、8月30日のことでした。私はあるミーティングがありまして、そのときはなんとか堪えていたんですけどね、帰りの電車の中でぼろぼろと涙が出て止まらなかったんですよ。もう恥ずかしいなんてものではなくて。高校2年生で親父を亡くしたときよりも涙が出たかもしれないですね。それだけ自分にとっては大きな存在だったのだということを実感しました。仕事を通してそういう存在になっていただけたということは本当にありがたく、我々は尊い仕事をさせていただいているなと思います。

亡くなられてからもこうして本や映像を通してその人のメッセージは残り続けます。私は出来の悪い弟子ではありますけれども、稲盛先生はこれからも恩師であり続けていただけるのではないかと思います。


植木宣隆(うえき のぶたか)

株式会社サンマーク出版 代表取締役社長(インタビュー当時)。1951年、京都に生まれる。76年、京都大学文学部独文科を卒業。株式会社潮文社を経て78年、サンマーク出版の前身である株式会社教育研究社に入社。戦後2番目(当時)の大ヒットとなった春山茂雄著『脳内革命』(410万部)をはじめとして、久徳重盛著『母原病』や船井幸雄著『これから10年 生き方の発見』などを企画編集した。リチャード・カールソン著『小さいことにくよくよするな!』(177万部)や稲盛和夫著『生き方』(150万部)、新谷弘実著『病気にならない生き方』(140万部)、近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法』(160万部)など、編集長として、また経営者として、この25年で8冊の単行本ミリオンセラーに恵まれてきた。ライツの海外販売にも早くから取り組み、江本勝著『水は答えを知っている』は世界35か国で累計300万部、『生き方』は中国で600万部を突破した。また2015年には『人生がときめく片づけの魔法』が世界43か国で大ヒット。アメリカではアマゾンの年間総合第2位、480万部を突破。サンマーク出版の海外発行総部数は累計2500万部となっている。2002年より現職。

◇ ◇ ◇


flier編集部

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