最新記事
自動車

斜陽デトロイトは「デジタル」で蘇る──先端技術の集積拠点として台頭

MICHIGAN MOVES UP

2023年3月8日(水)12時40分
ジェイク・リンジマン(自動車業界担当)
自動車

ソフトウエアとデジタルテクノロジーが自動車産業の在り方を変えつつある AERIALPERSPECTIVE IMAGES/GETTY IMAGES

<EV、自動運転車、コネクテッドカー......。かつて閑古鳥が鳴いた米自動車産業の都・ミシガン州が、先端技術の集積拠点として台頭している>

電気自動車(EV)の駆動系やバッテリーに始まり、IT端末としての機能を持つコネクテッドカーや自動運転車向けのさまざまなハードウエアやソフトウエアに至るまで、アメリカの自動車メーカーは長年、デジタルテクノロジーの開発に巨額の資金をつぎ込んできた。

最近目立ち始めているのが、アメリカ自動車産業の原点の地であるデトロイトを擁するミシガン州への投資の流入だ。フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)、ステランティス(クライスラーやジープなど14の自動車ブランドを傘下に置く多国籍自動車メーカー)はいずれも、ミシガン州での技術開発プロジェクトに投資している。

これまでアメリカ自動車産業の投資の多くは、シリコンバレーなどテクノロジー産業集積地に流れていた。例えばフォードは2016年、カリフォルニア州パロアルトにグリーンフィールド研究所を設立し、地元のスタートアップ企業との協働と、自動車関連テクノロジーの実用化支援に乗り出した。

フォードは17年にも、ペンシルベニア州ピッツバーグの自動運転車関連テクノロジー企業であるアルゴAIに10億ドルを投資した(ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンと配車サービス大手のリフトも出資したが、アルゴAIは昨年閉鎖された)。

しかし近年、フォードはお膝元のミシガン州に目を向け始めている。同州ディアボーンの本社から近いデトロイトで大規模な投資を始めたのだ。具体的には、18年にデトロイトのミシガン中央駅(1988年に廃業して廃墟になっていた)を買い取り、EVや自動運転車の研究拠点にする計画だ。昨年2月には、グーグルもこのプロジェクトに加わった。

フォードがこれまでミシガン中央駅再開発事業に投資した金額は、総額7億4000万ドルに上る。同社は昨年6月、さらに20億ドルを投資し、ミシガン州に3200以上の新規雇用を生み出す計画も明らかにした。

「ビジネス上のニーズの変化に伴って、自動車メーカーと部品メーカーの投資の在り方が変わってきた」と、調査会社S&Pグローバル・モビリティの首席アナリスト、ステファニー・ブリンリーは本誌に語っている。

「ミシガン州でのプロジェクトの一部がコロナ禍で予定より遅れたことは事実だが、方針はずっと前に決まっていた。シリコンバレーでの研究開発に対する最初の投資は、あくまでも予備段階のものだった。当時は自動車メーカーも部品メーカーも、どんなことを知っておく必要があるかさえまだ分かっていなかった」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

パラマウント、WBD買収へ 第3四半期完了の見通し

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ521ドル安 イラン緊迫や

ビジネス

NY外為市場=ドル軟調、155円台後半 イラン情勢

ワールド

トランプ氏、アンソロピック技術の使用停止を指示 全
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石が発見される...ほかの恐竜にない「特徴」とは
  • 4
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 5
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    トランプがイランを攻撃する日
  • 8
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKI…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中