最新記事

日本経済

生活保護が増加する一方で1.2億円タワマンが即完売 日本列島一億総下流社会への序章

2022年9月30日(金)14時00分
須田慎一郎(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

「一億総下流社会」が徐々に現実味を帯びつつある

国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、サラリーマンの平均年収は1997年の467万円をピークに、その後は一度もそれを上回ることなく推移している。もっといえば、サラリーマンの平均年収が400万円を超えたのはバブル真っ只中の1989年。

1992年には450万円台となって1997年まで上がり続けたが、その後は450万円に届かず、2020年は433万円と前年よりも減っている。つまり、日本のサラリーマンの給料は1990年代よりも低い水準で、この30年間増えていないのである。

よくバブル崩壊後の「失われた30年」というが、まさに日本人の「賃上げが失われてきた30年」なのだ。

収入が増えなければ、消費も増えない。モノやサービスにお金が回らなければ、各企業の収益も上がらない。企業が儲からないから、社員の給料も上げられない──。そうした「負のスパイラル」が繰り返されれば、日本が「貧しい国」になってしまうのも当然ではないか。

そんな苦しい状況は、統計を見るまでもなく、みなさんが日々実感されているに違いない。

「一億総下流社会」岸田文雄政権は「成長と分配」を掲げるが、どうにも「絵に描いた餅」にしか思えない。2020年の特別定額給付金に続き、2022年には子育て世帯を対象にした5万円の給付金や、住民税非課税世帯を対象に10万円の臨時特別給付金を支給しようとしているが、それだけではまったく不十分であるのは目に見えている。まして住民税非課税世帯はまだしも、かろうじて住民税を払えている世帯はどうなるのか。

コロナ禍でほとんどの人がネガティブな影響を受け、そのなかでも生活が逼迫ひっぱくして極限的な状況に置かれている人は決して少なくない。どこまで支援の手を差し伸べたらいいのか、その線引きも一筋縄ではいかないだろう。

そう考えていくと、ごく普通に見える人たちも、なかなか収入が増えないなか、世界的な物価高と円安によって家計の負担が増し、やがて家計が破綻して生活困窮者に陥ってしまう可能性が高まってしまうのではないだろうか。「一億総下流社会」が、徐々に現実味を帯びつつあることに目を向けてほしい。

須田慎一郎(すだ・しんいちろう)

ジャーナリスト
1961年東京生まれ。日本大学経済学部を卒業後、金融専門紙、経済誌記者などを経てフリージャーナリストとなる。民主党、自民党、財務省、金融庁、日本銀行、メガバンク、法務検察、警察など政官財を網羅する豊富な人脈を駆使した取材活動を続けている。週刊誌、経済誌への寄稿の他、「サンデー!スクランブル」、「ワイド!スクランブル」、「たかじんのそこまで言って委員会」等TVでも活躍。『ブラックマネー 「20兆円闇経済」が日本を蝕む』(新潮文庫)、『内需衰退 百貨店、総合スーパー、ファミレスが日本から消え去る日』(扶桑社)、『サラ金殲滅』(宝島社)など著書多数。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

住友生命、営業職員26年度に5%以上賃上げ 4年連

ワールド

予算年度内成立を目指す、国会審議誠実に対応=高市首

ビジネス

英スタンチャート、25年税引き前利益が16%増 予

ワールド

パナマ、香港企業の港湾契約を正式に無効化 当局が従
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 5
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 6
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 7
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中