最新記事

エンターテインメント

岐路に立つ動画配信ビジネス 「ネトフリに追いつけ追い越せ」は終焉か

2022年8月15日(月)11時54分

こうした考え方はメディア産業全体に広がっている。

ケーブルテレビ(CATV)運営大手コムキャストの娯楽部門NBCユニバーサルは、ストリーミング部門「ピーコック」への過剰投資を控えてきたことについて、先見の明があったと胸を張っている。

またパラマウント・グローバルのボブ・バキッシュCEOは先週、自社ストリーミング事業「パラマウント+」の成長を誇りながらも、5月27日に公開した大ヒット映画「トップガン マーヴェリック」を劇場だけで上映できるよう、ストリーミング配信を遅らせた決定を自画自賛した。

抜きん出るディズニー

業界全体がストリーミング事業を後退させているだけに、ディズニーが10日発表した第3・四半期(7月2日まで)決算が好調だったことは、ひときわ目を引く。

調査会社PPフォーサイトのアナリスト、パオロ・ペスカトーレ氏は、ディズニーが加入者数でネットフリックスを抜いたことは「ストリーミング戦争における重要な瞬間だった」と指摘。「両社一騎打ちの様相を呈している」と語る。

ディズニーはストリーミングサービスの総加入者数が約2億2100万人になり、ネットフリックスの2億2070万人を抜いたと発表。これを受けてディズニー株は急伸した。

ディズニーは、ネットフリックスを追撃するために事業を再編した最初の主要メディア企業だった。娯楽ブランドとしての世界的知名度を生かし、コンテンツに300億ドルもの投資を行うことで、ネットフリックスに競り勝った。

ただストリーミング事業においては、過去の実績が今後の成功を告げるとは限らない、とアナリストは指摘する。

サード・ブリッジのアナリスト、ジェーミー・ルムリー氏は「ディス二―にとって一番のリスクは、これまでの加入者増がマーベルやスターウォーズなど数々の主要フランチャイズ映画の完結時期と重なっていたことだ。次期コンテンツに移った時に加入者を増やす、あるいは維持できるかについては大きな不確実性が残っている」と述べた。

(Dawn Chmielewski記者、 Lisa Richwine記者) 

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

東証がグロース市場の上場維持基準見直し、5年以内に

ビジネス

ニデック、有価証券報告書を提出 監査意見は不表明

ビジネス

セブン銀と伊藤忠が資本業務提携 ファミマにATM設

ワールド

トランプ氏、日韓の対米投資「前払い」 見解の相違と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性を襲った突然の不調、抹茶に含まれる「危険な成分」とは?
  • 2
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 5
    クールジャパン戦略は破綻したのか
  • 6
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 7
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 8
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 9
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 7
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 8
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中