最新記事

日本経済

「池袋家電戦争」に神奈川のノジマが殴り込み 迎えるビック、ヤマダは集客効果に期待も

2021年8月31日(火)18時09分
池袋の繁華街

神奈川県を地盤とする家電量販店のノジマが東京23区内への出店攻勢を続けている。写真は池袋で2020年7月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

神奈川県を地盤とする家電量販店のノジマが東京23区内への出店攻勢を続けている。コロナ後も見据え今年に入って世田谷区、目黒区、大田区に出店し、26日には豊島区池袋の東武百貨店内に店舗をオープンした。ビックカメラが本店ほか多店舗を展開し、近接してヤマダデンキが「日本総本店」を構える激戦地で存在感を示せるのか。かつて「池袋家電戦争」とも呼ばれた攻防は新たな局面を迎えた。

メーカー販売員不在を強調、価格面も「全力で戦う」

池袋駅西口にある東武百貨店は、都内の百貨店では最大級の売り場面積を誇る。ターミナル駅直結の百貨店周辺では、エリア初進出となるノジマの開店が大々的に告知されている。郊外型店舗が比較的多く、最近ではテナント出店を加速するノジマでも百貨店内の店舗は池袋店で3カ所目と数少ない。しかし、メーカー販売員を置かず自社スタッフのみで接客するというノジマのスタイルは「客層にマッチする」(鈴木靖哲店長)とみて、広告でも差別化策として強調している。

大型店舗を構えるビック、ヤマダとの競合についても、鈴木店長は「価格面でも全力で戦う」と意気軒高だ。会員向けのポイント還元では、ノジマは商品の販売時のほか、来店のみでも付与することを「売り」としてきた。一定の制限付きながら、商品の検討段階や買い物ついでの来店でも積み増すことが可能で、顧客の囲い込みに活用する。

ノジマ池袋店は約2000平方メートルの規模で、婦人服売り場が中心の4階に陣を構えた。大通りに面した大型店舗とは立地条件が異なり、家電量販店の従来の常識では必ずしも有利とはいえないとされる。家電業界に詳しい細田立圭志BCN+R編集長は「ノジマはノウハウを持っているのかもしれない。成功するかどうか見ものだ」と話す。

攻防の激化、迎え撃つ側も集客効果に期待

池袋地区には、グループ企業のソフマップを含めビックが6店舗、ヤマダが2店舗を展開している。ビックの池袋西口店を除きいずれも東口の一帯に集中しており、ビック池袋本店とヤマダ日本総本店は通りを挟んではす向かいで対峙する。群馬県に本社を置くヤマダが日本総本店と名付けるほど力を込めた2009年10月末の出店時には、各媒体で「家電戦争」の見出しが躍った。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英建設業PMI、11月は39.4 20年5月以来の

ワールド

ウクライナ軍撤退なければ、ドンバス地方を武力で完全

ビジネス

アングル:長期金利2.0%が視野、ターミナルレート

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中