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「池袋家電戦争」に神奈川のノジマが殴り込み 迎えるビック、ヤマダは集客効果に期待も

2021年8月31日(火)18時09分

2010年代前半にはラオックスが東武百貨店に店舗を出していたが、大勢としてはビック・ヤマダ対決の構図が続いてきた。ノジマ出店に「特段コメントすることはない」(広報担当)というビックも、今年1月に東口カメラ館を閉店する一方、7月末にはヤマダ総本店の真横にアップル製品にフォーカスした店舗を開くなど変遷が激しい。

今回のノジマ進出は出店形態のほか、場所も駅の西口に近く、ビック・ヤマダの東口の店舗群から徒歩で8分ほどの距離があるため、ヤマダの出店時とは様相が異なる。業界を巡る環境も、定額給付金の支給やテレワーク需要でパソコン販売が活気づくなど「生活様式が一変する中で良すぎた面がある」(細田BCN+R編集長)昨年とは違って、緊急事態宣言が長引く現状ではインバウンド需要の回復も見込めず、決して良い環境ではない。

家電激戦地として認知度高まるか?

それでもノジマの出店は「地域の集客力が高まるのでプラスになる」(ヤマダホールディングスの広報担当)側面もあるという。家電量販店の攻防は利用者だけでなく、店側にもプラス効果が見込めるというわけだ。

ビックのPRソングで池袋は「東が西武で西東武(にしとうぶ)。高くそびえるサンシャイン」と百貨店の位置と高層ビルが象徴として歌われる。ネット・テレビ通販の浸透、家電以外の品ぞろえなど競合関係が複雑化する中で、あらためて家電激戦地としての認知度を高められるかどうかは、ノジマだけでなく、迎え撃つ側の動きにもかかっている。

(内田慎一 編集:田中志保)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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