最新記事

アルコール

ストロング系の好調に酔えない大手ビール会社 健康志向で低・ノンアルコールへシフト

2021年8月10日(火)17時54分

メーカー側は、アルコール度数とともにグラム量の表示を段階的に進めている。これは、3月に閣議決定した「アルコール健康障害対策推進基本計画」の中で求められたもので、政府関係者は「グラム表示が進めば、販売している商品との矛盾が明らかになる。抑止策につながることを期待している」と話す。

高アルコールから低アルコールへ

ビール大手4社は、現段階で「消費者のニーズはある」として「ストロング系」の取りやめには至っていない。ただ、一時のように強く消費を促すことはやめている。

キリンビール(東京都中野区)の布施孝之社長は、高アルコール製品への需要は高く、ブランドとしても存在するが「アルコール問題を助長するコミュニケーション(広告活動)は一切やらない」と、慎重な取り扱いをしているという。「資源を集中したり、コスパが良いなどの広告表現は一切せずにケアしながら売っている」と説明する。

キリンでも、現在最も売れ筋の「氷結無糖」は4%のアルコール度数となっている。

アサヒビールは「スマドリ(スマートドリンキング)」を提唱、お酒を飲めない人に加え、あえて飲まない人を合わせた4000万人をターゲットにして商品を投入。2025年までに度数3.5%以下の商品の比率を20%にする計画だ。

松山一雄専務は「スマートドリンキングを推進する中で、高アルコールは避けては通れない課題だと認識している。中長期的に高アルコールにどう取り組んでいくかは、議論をしている」という。現時点では、商品の取りやめの判断は行っていないものの「度数が低くても十分魅力ある大人向けの飲料は開発できると思っている。今後出していく新商品は、できる限り高アルコールの領域ではないもので、魅力ある商品を出していくことで徐々にそちらの方の消費が増えていく世界が実現できればいいと思う」とし、徐々に舵を切る方針を示している。

オリオンビールは、沖縄の素材を用いた商品などの首都圏販売にも乗り出した。高アルコールチューハイの販売を取りやめた後、20年5月からの1年間で「WATTA」シリーズの売上高は65%増となった。低アルコールの品揃えを拡充して、今年は3倍の拡大を狙う。

「一部消費者からは残念という声もあったが、9割は支持の声だった」。こうした会社の姿勢と消費者の支持は、今後、大手企業の方針転換の後押しとなるかもしれない。

清水律子

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・なぜ五輪選手が亡命を余儀なくされるのか ベラルーシ政治情勢まとめ
・東京五輪、中国人バド選手が韓国ペアとの試合中に「罵倒」連発で騒動に
・「無駄に性的」罰金覚悟でビキニ拒否のノルウェー女子ビーチハンド代表


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:カジノ産業に賭けるスリランカ、統合型リゾ

ワールド

米、パレスチナ指導者アッバス議長にビザ発給せず 国

ワールド

トランプ関税の大半違法、米控訴裁が判断 「完全な災

ビジネス

アングル:中国、高齢者市場に活路 「シルバー経済」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 5
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 8
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 9
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中