最新記事

アルコール

ストロング系の好調に酔えない大手ビール会社 健康志向で低・ノンアルコールへシフト

2021年8月10日(火)17時54分

ここ数年、人気を集めてきた「ストロング系」と称される高アルコール度数の缶チューハイに健康被害を誘発するとの指摘が高まり、大手ビールメーカーが慎重姿勢に舵を切り始めた。写真は都内のスーパーマーケットの店頭に並ぶノンアルコールビール。3月撮影(2021年 ロイター/Ritsuko Ando)

ここ数年、人気を集めてきた「ストロング系」と称される高アルコール度数の缶チューハイに健康被害を誘発するとの指摘が高まり、大手ビールメーカーが慎重姿勢に舵を切り始めた。世界的な健康志向の高まりを受け、酒を飲めない人だけでなくあえて飲まない人も増加する中で、伸びてきた低・ノンアルコール系に軸足を移しつつある。

コロナ禍でも伸びる高アルコール、撤退も

コロナ禍で外食での飲酒機会が減少、アルコール市場は苦戦を強いられている。その中で、缶チューハイなどのRTD(Ready to Drink)は5年連続で2桁増となるなど好調を維持している。特に、コロナ禍で家飲みが増加する中、気軽に飲むことのできるRTDの需要は高い。

健康志向からノンアルコールや低アルコール市場が拡大する一方で、大手ビールメーカーを中心に競うように拡販してきたアルコール度数7―9%の缶チューハイ、いわゆる「ストロング系」も「飲みやすく、安価に酔える」ため引き続き市場を拡大している。

調査会社インテージによると、度数7―9%の商品の2020年の販売金額は2599億円で14年比で倍増。金額構成比でも年々比率を高め、20年にはRTDの62%を占めるに至っている。

こうした中、沖縄県の酒類メーカー、オリオンビール(浦添市)は、20年4月に高アルコール製品の販売を終えた。度数7%以上の製品は、「WATTA」シリーズの売れ筋だったため「社内では葛藤しかなかった」とマーケティング本部の原国秀年課長は笑いながら振り返る。しかし、アルコール依存症の治療施設などを訪れ「睡眠薬代わりに飲んでいた」などの話を聞き、決断に至ったという。

アルコールグラム表示が後押し

高アルコール商品は、短時間で多量のアルコールを摂取する「一時多量飲酒」を誘発するとして問題視する声が上がっている。度数9%の商品を1缶飲めば、生活習慣病のリスクが高まる1日当たりのアルコール摂取量(男性で40グラム以上、女性で20グラム以上)を上回ってしまう。

秋田大学大学院医学系研究科の米山奈奈子教授は、厚生労働省の会議で「消費者がそういうことを知らずに飲んでしまうことが危険。そうした危険性のあるアルコール飲料を企業が製造する責任は取れないのか、製造に関して踏み込んだことは言えないのか」と述べるなど、より踏み込んだ規制を求める声すら出ている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中