最新記事

日本社会

「いつか会社を見返してやる」 そう言って早期退職したシニアたちの哀しい末路

2020年11月11日(水)11時15分
寺田 淳(行政書士) *PRESIDENT Onlineからの転載

退職後、複数の会社から声がかかった

【成功例2】第三者の意見を受け入れていた
・53歳経理部長

次は、少々変わった形での成功例です。

「実は早期退職の最大の理由は住宅ローン完済のためで、あとは何とかなるだろうと気楽に考えてました」と、早期退職の理由は、一見すると感心できないものでした。しかし、彼は少年野球の監督を手弁当で長年続けており、社外の人脈はごく自然に多岐にわたっていたのです。

「でも、一応まだ在職中に子供つながりのいろいろな人たちに自分でもできる仕事は何だろうかと尋ねたり、自分の強みについては聞いてました」
「その結果、いざ退職した際に、いきなり五指に余る再就職口を紹介してもらいまして、退職後わずか2カ月で再就職できました」

「失業手当の手続き、してみたかった」と、最後はいささか噴飯ものの感想まで口にしていました。

この2人に共通するのは、自分は何をしたいのか、自分の強みは何だろうかという点を自己責任で考えたこと、または第三者からの意見を受け入れたことです。肩書や会社の知名度といった世間体や見栄を捨て去ることできが、結果的にいい出会いを手繰り寄せたのです。

安易な理由で早期退職をしてはいけない

冒頭に書いたように、今回のコロナ禍では早期退職勧奨どころか会社の存続自体が危ぶまれる状況も視野に入れるべきで、リーマンショック時以上の高リスクと言えます。このような中で前述したような極めて安易な理由だけで早期退職を目指すのだけは厳禁です。

「○○だからこんなことになった(こんな目に遭った)」
「○○だったら、こうはならなかった」

他責追及と失敗をひきずっているだけの将来を招きたい人はいないはずです。

今だから残る、今だから外に出る。その結論が正解か否かは個々の事情で異なります。

せめて悔いのない準備の結果として、早期退職後の結果を受け入れられるように心がけたいものです。

※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バングラで暴動、撃たれた学生デモ指導者死亡受け 選

ワールド

サウジ原油輸出、10月は2年半ぶり高水準 生産量も

ワールド

豪政府が銃買い取り開始へ、乱射事件受け 現場で追悼

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中