最新記事

アメリカ経済

米ニーマン・マーカス、破産申請準備 百貨店業界初の新型コロナウイルスでの破綻に

2020年4月20日(月)07時57分

米高級百貨店運営のニーマン・マーカス・グループは、早ければ今週中にも破産法の適用を申請する準備を進めている。2018年12月、ペンシルベニア州で撮影(2020年 ロイター/Mark Makela)

米高級百貨店運営のニーマン・マーカス・グループは、早ければ今週中にも破産法の適用を申請する準備を進めている。現実化すれば、米百貨店業界で新型コロナウイルスの影響による初めての経営破綻となる。事情に詳しい関係者が明らかにした。

ニーマン・マーカスは既に、43カ所の直営店や20カ所を超えるセール品販売店、ニューヨークにある傘下の百貨店「バーグドルフ・グッドマン」の一時休業を迫られており、これ以上当面の事態を乗り切るために打てる手は乏しい。約1万4000人の従業員の多くも一時帰休の対象となっている。

関係者の話では、ニーマン・マーカスは数億ドルの借り入れについて債権者との間で、破産法を適用した上で一部事業を継続する方向で最終的な話し合いを続けている段階。数日中に破産申請に動く可能性があるが、タイミングは前後してもおかしくないという。

ニーマン・マーカスは先週、数百万ドルの債務の返済を滞らせており、この中には近いうちに返済できなければデフォルト(債務不履行)に陥る案件がある。

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、ニーマン・マーカスの借入総額は約48億ドルに上る。このうちの一部は、現オーナーのアレス・マネジメントとカナダ年金制度投資委員会が2013年に行ったレバレッジド・バイオアウト(LBO)の名残りが含まれている。

S&Pのアナリストチームは先週、新型コロナの大流行がもたらしている強い逆風や、米国が今年景気後退に突入すると予想されること踏まえると、ニーマン・マーカスが破綻せずに持ち直せる公算は小さいとの見方を示した。

一方ニーマン・マーカスに破産法が適用されれば、一部割割安化した資産に買い手が出てくる可能性もある。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける?
・中国・武漢市、新型コロナウイルス死者数を大幅修正 50%増の3869人へ
・イタリア、新型コロナウイルス新規感染者は鈍化 死者なお高水準
・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(17日現在)


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国10月物価統計、PPIは下落幅縮小 CPIプラ

ワールド

フィリピン、大型台風26号接近で10万人避難 30

ワールド

再送-米連邦航空局、MD-11の運航禁止 UPS機

ワールド

アングル:アマゾン熱帯雨林は生き残れるか、「人工干
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 9
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中