最新記事

アメリカ社会

アメリカでも買いだめでスーパーは品薄に トイレットペーパーなど一部商品の販売制限も

2020年3月16日(月)12時02分

米国でも新型コロナウイルスの感染拡大が加速するなか、消費者の買いだめの動きが広がり、スーパーマーケットなどで食品や生活必需品が品薄になりつつある。写真はニューヨーク・ブルックリンの薬局で、空になった棚(2020年 ロイター/Anna Driver)

米国でも新型コロナウイルスの感染拡大が加速するなか、消費者の買いだめの動きが広がり、スーパーマーケットなどで食品や生活必需品が品薄になりつつある。こうした状況に対処するため、消費財メーカーは需要が急増している基礎的な売れ筋商品に焦点を絞って生産を拡大している。

小売各社はトイレットペーパーや洗浄剤、食料品の買いだめによって商品が品薄になり、さらなる不安をあおっていると警告している。オンライン小売最大手のアマゾン・ドット・コムは、注文の急増によって多くの生活必需品が売り切れたと明らかにした。

こうしたなか、トランプ大統領は15日、アマゾンやターゲット、コストコ・ホールセール、ウォルマートなど小売り大手の幹部30人と電話で会談した。

カドロー国家経済会議(NEC)委員長はテレビを通じて米国の供給ラインは「かなりうまく機能している」と明言した。

食品マーケティング協会(FMI)で危機管理の責任者を務めるダグ・ベイカー氏は「食品の供給網が遮断されることはない」と述べた。

工場が24時間態勢で稼働するなか、需要が急増している商品に焦点を絞って生産していると同氏は説明した。たとえば漂白剤なら従来のように様々なサイズや香料の商品を取りそろえるのではなく、最も売れ筋の商品に限定して量産する方針に切り替えた。食品でも、売れ行きがよくないフレーバーは生産を停止し、生産ラインをその他の食品に振り向ける可能性があるという。

同氏によると、メーカーも全米に公平に商品が行きわたるような措置を導入し始めている。

ウォルマート、パブリックス、クローガ―などの小売大手は、トイレットペーパーや消毒用ウェットティッシュなど、特に需要が高まっている商品の1人当たりの購入量を制限している。

ウォルマートの広報担当者によると、同社は各店舗のマネジャーに、特に需要が急増している商品に関しては裁量で販売量を制限するなど、在庫を管理する権限を与えた。

小売各社にとっては、商品の配送が滞らないよう、人手の確保も重要だ。FMIのベーカー氏によると、一連の緊急対応策には、飲食業界の人材を活用する計画も含まれている。小売業界は、劇場やカフェ、レストランの閉鎖によって一時解雇された労働者の雇用に期待しているという。

[ニューヨーク/ロサンゼルス 15日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルスでマニラ事実上の首都封鎖 初日の検問所には軍も動員、テロ警戒か
・韓国、新型コロナウイルス新規感染が2桁に減少 入国者への対策強化へ
・イタリア、新型コロナウイルス感染者1.7万人超 死者1266人で前日から25%増


20200324issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パナソニックHDが今期中に1万人削減、グループの業

ワールド

インド、パキスタンによる国境全域での攻撃発表 パキ

ビジネス

日経平均は続伸、米英貿易合意や円安を好感 TOPI

ビジネス

日本製鉄、今期純利益は42%減の見通し 市場予想比
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 8
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中