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パン屋もバーも火鍋屋も悲鳴 中国の零細事業者、新型コロナウイルスの流行で存亡の危機

2020年3月12日(木)14時00分

フレンチベーカリーのチェーン店「コントワール・ドゥ・フランス」は、15店舗中10店舗で来客数が急減した。写真は2月29日、北京で撮影(2020年 ロイター/Thomas Peter)

中国では新型コロナウイルスの感染流行で、多くの零細事業が存亡の機に瀕している。

精華大学と北京大学が先月、零細と中小の約1000業者を対象に実施した調査によると、現在の資金繰りであと1カ月存続できると答えた割合は34%にとどまった。

中国政府は企業に事業再開を求めているが、小規模な商店や消費者向けサービス事業のオーナーは非常に悲観的だ。人々は収入と雇用が脅かされているためカネを使う気になれず、人が集まる場所に足を踏み入れることも引き続き警戒しそうだからだ。

事業主の話をいくつか紹介する。

◎「立ち行かなくなる」=ベーカリー

フレンチベーカリーのチェーン店「コントワール・ドゥ・フランス」の創業者でパリからやって来たバンジャマン・デボさん(41)にとって、春節休暇は例年売り上げが鈍る時期だが、休暇の終わりにかけて持ち直すのが普通だ。それが「今年はさっぱりだ」

営業を続けている同社のカフェ15店舗中10店舗で、来客数が急減しただけではない。航空会社やホテルなどの企業顧客からも、クロワッサンやデザートの注文がキャンセルされた。

2月第3週までに売上高は前年比84%も落ち込み、スタッフの給与や店の家賃の支払いに苦労している。「ちょっと気落ちし過ぎて、過去1週間の数字は計算していない」

デボさんを助けようと、顧客らがクラウドファンディングで30万ユーロ(約3550万円)を募ろうとしてくれたが、これまでに集まったのは1万4400ユーロだ。

「正直言って、数週間中に立ち行かなくなりそうだ」とデボスさんは語った。

◎「台湾に戻って人生の新しい章を」=バーのオーナー

台湾生まれのサム・クワンさん(37)は3日、上海のカクテルバーをたたんだ。

バー「バルールズ」は6年前に開業。だし汁やグリーンプラムなどを使ったドリンクですぐに上海きっての気の利いたバーとして評判になった。

しかし米中貿易戦争によって米国製バーボンに輸入関税がかけられ、ここ2年は苦戦。とどめの一撃が新型コロナウイルスの感染拡大だった。

閉店は苦渋の選択だったが、「将来は台湾に帰って人生の新たな章を書き始めるつもり」だ。

「こういう時期にリスクや責任を負わされるのは、常に中小のビジネスだ。(たとえ営業を続けていたとしても)客が安心して出掛けられるようになり、経済が安定するには少なくとも半年かかっただろう」

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