最新記事

中国経済

中国、国有企業が相次ぐデフォルト 財務状態に懸念広がる

2019年12月10日(火)14時18分

中国の内モンゴル自治区の国有企業が私募方式で発行した約10億元(約1億4210万ドル)の債券の一部が先週末、デフォルト(債務不履行)に陥った。写真は2012年2月15日、内モンゴル自治区のフフホトで撮影(2019年 ロイター/Carlos Barria)

中国の内モンゴル自治区の国有企業が私募方式で発行した約10億元(約1億4210万ドル)の債券の一部が先週末、デフォルト(債務不履行)に陥った。中国地方政府では国有企業のデフォルトが相次いでおり、景気が減速する中で連鎖リスクが懸念されている。

フフホト市政府が所有するフフホト経済技術開発区の投資会社は9日、返済期限が6日に過ぎた債務の返済手続きを進めていると発表した。

格付け会社ムーディーズによると、中国の地方政府は2018年時点で7兆6000億元の財政赤字を抱えている。米中貿易戦争で痛んだ経済をてこ入れするために中央政府は減税と財政支出の拡大に取り組んでおり、財政負担はさらに高まる可能性がある。

インダストリアル・セキュリティーズのアナリスト、フアン・ウェピン氏は週末のリポートで「地方政府は依然、隠れた債務に相当な強い返済圧力を受けている」と指摘し、財政的に脆弱な地方政府が所有する金融特別会社について強く警戒するよう投資家に呼び掛けた。

ロイターが入手した目論見書によると、フフホト経済技術開発区は16年、銀行融資の返済や建設プロジェクトの資金手当て、資本の補充を目的に10億元相当の債券を私募方式で発行していた。この企業のサイトによると、事業内容は不動産から水システム開発、インフラ建設と多岐にわたる。

政府系の上海証券報が今月9日報じたところでは、中国の銀行間精算機関は7日、期限の6日までに同開発区から利息を全額は受け取っていないとする通知を出した。

発行体の幹部2人は返済期限を守らなかったことを確認した。

最近では北京方正集団と天津物産集団の国営2社も債券のデフォルトを起こしており、国有企業の財務状態に懸念が広がった。

中国の債券市場ではこれまで、国有企業のデフォルトはかなり異例だった。ロイターの集計では、今年これまでのデフォルト件数は民間企業が42件なのに対し、国有企業は6件だ。

一方、格付け会社フィッチによると、中国民間企業のデフォルト件数は今年、過去最多を記録している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米9月雇用11.9万人増で底堅さ示唆、失業率4年ぶ

ビジネス

12月FOMCで利下げ見送りとの観測高まる、9月雇

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ600ドル高・ナスダック2

ビジネス

さらなる利下げは金融安定リスクを招く=米クリーブラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中