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2020年はビットコインの採掘半減 採掘者からトレーダーまで市場の乱高下に備える

2019年12月22日(日)11時54分

ビットコインは新コインの数がほぼ4年ごとに半減される仕組みで、次は来年5月にこれが起きる見通しとなっている。写真は2014年1月、ユタ州で撮影(2019年 ロイター/Jim Urquhart)

ビットコインの熱烈なファンでもない限り、この暗号資産(仮想通貨)に来年起こる出来事を耳にしたことはないだろう。「半減」、すなわち同コインの生産が50%減るのだ。

これはビットコインの生みの親、サトシ・ナカモトなる人物が10年以上前にコードに書き込んだとされるルール。ビットコインの希少性を守るとともに、ビットコイン価格のインフレを抑えるため、コインの「採掘者(マイナー)」に与えられる新コインの数がほぼ4年ごとに半減される仕組みで、次は来年5月にこれが起きる見通しとなっている。

ビットコインの市場規模約1200億ドルに対し、毎年の発行規模は数十億ドル相当なので、半減は大きな変化をもたらす。

これまで2回起こった半減の際には価格が急変動した。価格変動は勝者と敗者を生むとみられ、マイナーからトレーダーまで、市場参加者は今度の機会に勝って儲けを得ようと準備を進めている。

理論上、供給が絞られて需要が横ばいであれば価格は上昇する。ロイターがトレーダーとマイナー、計7人に取材したところ、来年5月の半減に伴いボラティリティー(価格の変動率)は上昇し出来高が膨らむ見通しだ。ただ、既に多くのトレーダーが備えを進めているため、前2回の半減に比べれば市場の織り込みも進むのではないかという。

マイナーは高性能のコンピューターを駆使して複雑な計算を解き、ブロックチェーン(分散台帳)上で新たな「ブロック」を生成するのを競い合う。

現在は1ブロック生成するごとに12.5コインが付与されているが、次の半減でこれが6.25コインに減る。現在のブロック生成ペースを踏まえると、次の半減は5月に起こる見通しだ。

2012年11月と16年7月の半減の際は、ビットコイン価格はそれぞれ約80倍、約4倍に急騰した。他の要因と比較したベースで、こうした半減が価格上昇にそれぞれどの程度影響したかは定かでない。

米暗号資産投資会社、アーカのジェフ・ドーマン氏は、なおも揺籃期であるビットコインのデリバティブ市場では、今度の半減でボラティリティーの上昇は起きると予想している。

価格が変動すると、クオンツ系のヘッジファンドや高頻度取引を行うハイ・フリークエンシー・トレーダーには有利な展開となりやすい。

大量のビットコイン在庫を抱えるマイナーとしては、価格が安定していた方が投資の見通しを立てやすいため、ボラティリティーは障害となり得る。

市場関係者によると、ビットコイン先物を使えばマイナーは在庫リスクをヘッジできるが、現状ではボラティリティーに対する適切なヘッジ手段が乏しい。

暗号資産取引会社アルトノミーの共同創業者、リッキー・リー氏は「ボラティリティーの上昇に賭けたいとしても、現状のオプション市場では十分長い年限の契約が存在しない」と述べた。

Tom Wilson

[ロンドン ロイター]


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