最新記事

金融

波乱に満ちた2010年代 世界の金融市場を一変させた10のトレンド

2019年12月24日(火)14時11分

最初は金融危機、最後はフィンテック革命に見舞われた2010年代は混乱の時代だった。写真はロイターのファイルから(2019年 ロイター)

最初は金融危機、最後はフィンテック革命に見舞われた2010年代は混乱の時代だった。マイナス金利からビットコインまで、過去10年間に伝統的な経済・投資モデルを一変させた10のトレンドを以下に挙げた。

FAANG

もし米IT界の巨人5社─ーフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、アップル、ネットフリックス、アルファベットー─が一つの国だったら、総生産は英国を抜いて世界5位になる。時価総額は合計で3兆9000億ドル(2010年1月時点では1000億ドル程度だった)。FAANGは株式市場で過去最長の上昇局面をけん引してきただけでなく、仕事や買い物、ニュースの入手、リラックスの仕方まで変えてきた。

FAANGは現在MSCIグローバル株式指数の7%を占めており、2010年初めの約1.6%から拡大した。2009年にネットフリックス株に2万5000ドルを投じていれば100万ドルになっている。

業界を先導するこれら5社の後には新しいIT大手が台頭しつつある。中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)や業界の「破壊者」ウーバー、エアビーアンドビー、デリバルーなどだ。良くも悪くも世界と市場は永遠に変わってしまった。

マイナスの借入コスト

2008─09年の金融危機に続く数年間の決定的な特徴は、おそらく史上初めて金利と政府の借入コストがゼロを下回ったことだ。米国とドイツの10年物国債の金利はこの10年間で200─400ベーシスポイント(bp)低下した。独10年債は一時マイナス0.7%まで低下した。マイナス金利の債券は12兆ドルと全体のおよそ4分の1を占める。

中央銀行の資産買い入れ、マイナス金利、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)、ハイテク革命によるデフレ効果などは、少なくとも規模においてそれ自体画期的なものだった。日銀が保有する資産は日本の国内総生産(GDP)を上回る。欧州中央銀行(ECB)のバランスシートはユーロ圏GDPの4分の1だが、10年前から2倍になった。

寿命より長い債券

記録的な低金利を背景に利回りを求める動きが強まり、平均寿命よりも長い年限の債券が人気を集めている。

2010年には100年債が数本発行された。その後メキシコが2110年償還の債券10億ドルを発行すると、アイルランド、ベルギー、オーストリアのほか米英の大学、米国の地方自治体、コカ・コーラ、ペトロブラスなどの企業が相次いで起債した。格付けが投機的(ジャンク)等級で過去に何度かデフォルト(債務不履行)を起こしているアルゼンチンの2117年償還債券にも資金が集まった。

リフィニティブによると、発行済みの100年債は1400本超、約1700億ドルに上る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

海外勢の米国債保有、7月も過去最高の9.15兆ドル

ワールド

ウクライナ戦争後の平和確保に協力とトランプ氏、プー

ビジネス

中国、TikTok巡る合意承認したもよう=トランプ

ワールド

米政権がクックFRB理事解任巡り最高裁へ上告、下級
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中