最新記事

映画

アカデミー監督賞受賞「ROMA/ローマ」はホントに映画? ボーダーレス化が進む映画ビジネス

2019年3月14日(木)20時00分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)


アジアでのオリジナル映画制作に力を入れ始めたネットフリックス WeAreNetflix / YouTube

アジア市場に向けたオリジナル作品も

一方、ネットフリックスはアジア市場をにらんだオリジナル作品制作にも力を入れ始めており、昨年11月にはシンガポールでアジア市場を対象としたカンファレンス「See What's Next: Asia」を開催した。さらに日本では今月12日にネットフリックスと日本のアニメ制作プロダクション数社が包括的業務提携契約を行うことを発表した。数社との契約はすでに執り行われており、第一弾として「攻殻機動隊SAC_2045」や「スプリガン」など人気アニメの制作・配信が行われる予定だ。

また、お隣りの韓国では、今年1月ネットフリックスオリジナルドラマ「キングダム」が大ヒットし注目を集めた。シンガポールでのカンファレンスで発表された際にも一番注目を集めていた作品だ。製作費200億ウォンをネットフリックスが全額投資しており、今年1月から世界190か国(27言語字幕、12言語吹替)で配信が始まった。

ドラマの舞台となるのは韓国お得意の朝鮮王朝時代という時代劇だが、中身はなんとゾンビ物でアクションシーンも盛り込まれている。映画のようなクォリティーの高さで話題を集めており、配信開始前からシーズン2の制作も決定し、現在撮影中だ。配信が始まった1月25日以来、韓国内のネットフリックスの利用者が65.6%もアップし、200万名が実際に利用を始めたという。「キングダム効果」と呼ばれるこの現象は、もともとターゲットだった20代の利用者を24万人増加させたばかりか、50代以上の利用者も13万人増やした。また、一番視聴時間が短かった50代以上の利用者の平均視聴時間も伸びたという。

韓国へのネットフリックス進出は2016年1月6日だった。韓国ではもともと地上波放送以外にケーブルテレビと契約している家庭が多く、ネットフリックスの月額契約もそれほど抵抗はなかったようだ。現在、韓国映画はネットフリックス独占配信版権映画が多く、ソン・ガンホ主演の「麻薬王(DRUG KING)」や、パクへイル/スエ主演の「上流階級」などがある。このように、各国が自国の強みを生かしたコンテンツを製作し、同時に国境を越えて全世界に配信できるシステムは映画の作り手にとって魅力的である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:カジノ産業に賭けるスリランカ、統合型リゾ

ワールド

米、パレスチナ指導者アッバス議長にビザ発給せず 国

ワールド

トランプ関税の大半違法、米控訴裁が判断 「完全な災

ビジネス

アングル:中国、高齢者市場に活路 「シルバー経済」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 5
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 8
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 9
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中