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モス「海老天ぷらバーガー」は非常識の塊? ガラパゴス的進化、次の一手は?

2018年5月30日(水)07時00分
圓岡 志麻(フリーライター)※東洋経済オンラインより転載

「2015年のミラノ万博で日本館フードコートに出店したのですが、ライスバーガーが非常に好評でした。そのときに提供した商品を、『モスライスバーガー とりの照り焼き』として、2016年の2月から3月末にかけて、日本で期間限定販売しています。同時に、ライスプレートをミラノ万博のときと同じサイズ(20%増し)にし、食事性を高めています」(角田氏)

しかし糖質制限が流行している昨今、ご飯を増量したり、ライスバーガーをフィーチャーしても売れないのでは、とひとごとながら心配になる。しかしモスフードサービスではあくまでも、5大栄養素をバランスよく食べるという、国が推奨する栄養基準にのっとってメニュー作りを行っているのだそうだ。

「モスの菜摘」は糖質制限ブーム前の発売

たとえば「モスの菜摘」という、バンズをレタスに変更した商品は、糖質制限にぴったりに思えるが、同社によると、特に意識しているわけではない。そもそも「モスの菜摘」が商品として発売されたのは2004年が最初で、糖質制限ダイエットブームよりはずっと前だ。「おいしいモスの生野菜をたっぷり食べてもらえるように」という思いから生まれた商品で、ヘルシー志向の女性に人気が高まった。

また、ライスバーガー自体、米の消費拡大を目指して生まれた商品だった。1987年に「モスライスバーガーつくね」が生まれ、1992年には、「お米のまったく新しい消費を拡大したことに対して」農林水産大臣賞を受賞しているという。

モスバーガーは"日本で生まれ、日本の味を大切にする"ハンバーガー専門店をうたっており、できるだけ国産の素材を用い、しょうゆやみそといった日本の食文化を取り入れた商品を提供している。モスライスバーガーは、そんな同社を象徴するようなメニューだと言うことができるだろう。

前述のように、ライスバーガーは海外でも人気で、特に250店以上の出店がある台湾では、むしろライスバーガーがメインだという。ラインナップも多く、日本で見られないメニューも並ぶそうだ。そのほか海外店舗としてはシンガポール、香港、タイ、インドネシア、中国、オーストラリア、韓国などに出店している。

なおライスバーガーは2012年、2017年には、JAL欧米豪線の機内食にも"エアモス"として起用されているそうだ。

もっとも最近では、糖質制限を意識したサービスも行っているようだ。それが、「にくにくにくバーガー」。2017年6月、テレビ番組の企画で作られた商品で、モスライスバーガー焼肉のライスをパティに替え、さらに直火焼チキンとレタスを挟んだバーガーだ。約2週間で販売20数万食という好評を受け、2017年7月から、毎月29日(および2月9日)をニクの日として販売している。

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毎月29日限定発売の「にくにくにくバーガー」850円(写真:モスフードサービス)

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