最新記事

インド経済

インド新首相が掲げる「モディノミクス」の実力

総選挙は最大野党の圧勝でモディ首相が誕生。その名高い経済手腕は国政でも通用するか

2014年5月27日(火)15時03分
ラム・マシュル

改革はできるか モディはサリーの生地のデザインになるほど人気だが…… Danish Siddiqui-Reuters

 インドの総選挙は先週末に開票が行われ、次期首相の座に就くのは右派の最大野党・インド人民党(BJP)を率いるナレンドラ・モディが確実になった。

 3月に地元紙に掲載された調査によれば、総選挙の最大の争点は経済成長だった。インドの人口の半数以上は26歳未満だが、このところのGDP成長率は5%で頭打ち状態にあり、中央銀行はインフレも抑制できずにいた。モディ人気の背景には、停滞する経済への失望感や、左派の現連立政権が経済を再生できないことに対する怒りがある。

 そんななか、モディが首相を務めてきた西部グジャラート州は高い経済成長を遂げており、モディには「行政の魔術師」のイメージがある。強い指導力で州のインフラを整備し、自動車のフォードや衛生用品のコルゲートといった世界的大企業の投資を呼び込んだ。世界最大の石油精製所もあり、農業も主要産業だ。これこそ、モディが首相となったら全国に導入を公約する「グジャラートモデル」だ。

 モディの経済手腕は、世界からも評価されてきた。ゴールドマン・サックスは昨年の報告書で、モディを次期首相として最も適任だと称賛した。

 だが「モディノミクス」と呼ばれるモディの経済政策は、厳しい目で見ればすぐにほころびが見える。例えば、グジャラートはモディがいなくても同じように繁栄していたのではないかという問いを投げ掛けてみたら──答えはおそらく、イエスなのだ。

具体性のない政策ばかり

 グジャラート州は地理的に好条件に恵まれている。長い海岸線は輸出の拠点となり、広大な乾燥地帯は工場用地に最適だ。

 長期的に見れば、グジャラートの成長率はモディが01年に州首相に就任する前から国を上回っていた。90年代には国の成長率が3.7%だったのに対し、グジャラートは4.8%。00年代は5.6%に対して6.9%だった。この程度なら、グジャラートはどうしてもっと成長できなかったのか、という疑問のほうがふさわしいだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国自動車販売、12月は2年ぶり大幅減 25年は3

ワールド

イランが国外と遮断状態に、最高指導者「トランプ代理

ワールド

中国が日本企業向けレアアース輸出制限と米紙報道、輸

ワールド

台湾輸出、25年は過去最高 AI需要旺盛 12月は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 10
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中