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経済学ダボスで見つけた経済学の「ウソ」
世界経済フォーラムを取材していた私は、偶然にも効率的市場仮説を反証することができた!
今日(1月28日)の午後、ダボス会議のメイン会場であるコングレス・センターに入ろうとしたとき、床に灰色の紙切れが落ちているのに気付いた。どこかの通貨のように見えた。ドルでないことは確かで、スイス・フランか何かだろう。
かがんで拾おうとしたとき、われに返った。ここは世界経済フォーラムだ。何百人ものエコノミストや、経済学を学んだ何千人ものビジネスパーソンが集まっている。おそらく世界で最も合理的で最も利潤を最大化する人的資源が集中している。効率的な市場を形成するのはこうした人々だ。
そしてもちろん効率的市場仮説の信奉者は、お金や貯蓄があらぬところで見つかるという概念を信じていない。
古いジョークがある。2人の経済学者が道を歩いている。1人が「おい、1ドル札が落ちているぞ」と言うと、もう1人がこう言う。「あり得ないね。もし本物なら既に誰かが拾っているはずだ」
でも私は経済の非合理性を信奉している。その場でかがんで紙を拾った。片面にはエリザベス女王の厳しい表情が、もう片面にはチャールズ・ダーウィンが描いてある。10ポンド紙幣(約16ドル相当)だ。
その紙幣が、ノーベル賞経済学者にも、大企業番付「フォーチュン500社」のCEOにも、経済ジャーナリストにもいたぶられることなく、ただ床に横たわっていたのだ。