最新記事

経済学

ダボスで見つけた経済学の「ウソ」

世界経済フォーラムを取材していた私は、偶然にも効率的市場仮説を反証することができた!

2010年2月1日(月)15時23分
ダニエル・グロス(ビジネス担当)

 今日(1月28日)の午後、ダボス会議のメイン会場であるコングレス・センターに入ろうとしたとき、床に灰色の紙切れが落ちているのに気付いた。どこかの通貨のように見えた。ドルでないことは確かで、スイス・フランか何かだろう。

 かがんで拾おうとしたとき、われに返った。ここは世界経済フォーラムだ。何百人ものエコノミストや、経済学を学んだ何千人ものビジネスパーソンが集まっている。おそらく世界で最も合理的で最も利潤を最大化する人的資源が集中している。効率的な市場を形成するのはこうした人々だ。

 そしてもちろん効率的市場仮説の信奉者は、お金や貯蓄があらぬところで見つかるという概念を信じていない。

 古いジョークがある。2人の経済学者が道を歩いている。1人が「おい、1ドル札が落ちているぞ」と言うと、もう1人がこう言う。「あり得ないね。もし本物なら既に誰かが拾っているはずだ」

 でも私は経済の非合理性を信奉している。その場でかがんで紙を拾った。片面にはエリザベス女王の厳しい表情が、もう片面にはチャールズ・ダーウィンが描いてある。10ポンド紙幣(約16ドル相当)だ。
 
 その紙幣が、ノーベル賞経済学者にも、大企業番付「フォーチュン500社」のCEOにも、経済ジャーナリストにもいたぶられることなく、ただ床に横たわっていたのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米国版の半導体の集積拠点、台湾が「協力分野」で構想

ワールド

アフガン北部でM6.3の地震、20人死亡・数百人負

ワールド

米国防長官が板門店訪問、米韓同盟の強さ象徴と韓国国

ビジネス

仏製造業PMI、10月改定48.8 需要低迷続く
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 7
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中