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誰かと比べると際立つ、故ブッシュ大統領の偉大さ

退任後も愛妻バーバラ(今年4月に死去)と共に国民に親しまれた Diana Walker-Time Life Pictures/GETTY IMAGES
<外交・内政の実質的な成果が過小評価されているが、公正で寛大な良き保守派を代表する指導者だった>
それは象徴的な光景だった。12月5日に首都ワシントンで行われた第41代米大統領ジョージ・ブッシュの国葬でのこと。88年の大統領選で共和党の指名候補の座をめぐりブッシュと熾烈な戦いを繰り広げたボブ・ドール元上院議員は車椅子でかつてのライバルの棺の前に進み出ると、付添人に支えられてよろよろと立ち上がり、棺をじっと見据えて敬礼を送った。
そのしぐさがアメリカ人の総意を代弁していた。「彼は実にいい奴だった」。そんな思いだ。
11月30日に94歳で亡くなったブッシュはおそらくアメリカ史上最も過小評価された大統領だろう。死後時間がたつにつれ、その評価は上がっていくはずだ。
経歴は歴代の大統領の中でも突出して輝かしい。第二次大戦中は米海軍の戦闘機パイロットとして活躍。戦後は石油ビジネスで成功し、下院議員、国連大使、CIA長官、共和党全国委員長、ロナルド・レーガンの下で副大統領を務め、89年に大統領に就任した。
だが指導者としての資質の割に、選挙ではパッとしなかった。再選を果たせなかったばかりか、若き日にテキサス州から出馬した上院議員選でも2回負けている。政界で頭角を現せたのは人徳によるところが大きい。
国際社会のリーダーとしては、およそ不可能に見える離れ業をやってのけた。ソ連のゴルバチョフ共産党書記長と共に東西冷戦を終結に導き、91年末のソ連崩壊後には世界秩序の構築に尽力。91年1月の湾岸戦争では、NATOの同盟国ばかりかアラブ諸国の協力も取り付け、クウェートに侵攻したサダム・フセインのイラク軍を一気に撃退した。だが中東最大の火薬庫の危ういバランスを崩すことは巧みに避けた(自身の息子を含め、後任者にはできなかった業だ)。
内政に目を向ければ、景気後退で再選を果たせなかったものの、政治的なダメージを恐れずに増税に踏み切った点は評価できる。そのおかげでクリントン時代には景気が回復した。
日米の歴史的和解に貢献
ブッシュの偉大さは、現在のホワイトハウスの主と比べるとさらに際立つ。トランプ現米大統領は息子のブッシュ第43代大統領と共和党予備選に出馬した次男のジェブ・ブッシュを口汚くののしったが、父ブッシュは自分の葬儀にトランプを招くよう周囲に指示していた。私怨にとらわれ、取るに足りない出来事を根に持つ誰かとは大違いだ。
だが、最も違いが明らかなのは通商交渉に臨む姿勢だろう。経済大国にのし上がった中国を敵視し、貿易戦争を叫ぶトランプとは対照的に、ブッシュは当時多額の対米貿易黒字を出していた日本に対し、ステイツマン(志高い政治家)らしい抑制の取れた態度で臨み、構造協議への合意を取り付けた。
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