コラム

人間臭さを感じさせる、ディープ大阪の決定的瞬間

2015年10月28日(水)15時05分

#釜ヶ崎 #kamagasaki #cat

Shoji Ogawaさん(@shoji_ogawa_unlimited)が投稿した写真 -


"Stolen Moment"は極めて難しいテクニックである。加えて、テクニックだけではこの手法は成りたたない。なぜなら、日常ではほぼ誰もが見落としがちな、人間の隠された本質的な表情、それが浮かびあがった決定的瞬間をカメラにフリーズしなければならないからだ。同時にそれが一体何なのかも認識できなければならない。ましてや、釜ヶ崎・新世界は写真家にとってメッカ的存在。単なる写真の才能だけでは、人を感銘させることはできないのだ。そうした中で彼の写真がより際立っているのは、彼が大阪の街、釜ヶ崎・新世界に根付いているからだろう。

 実際、彼には気負いがない。釜ヶ崎と新世界を執拗に撮り続けている理由も、「たまたま、自分の家が近いだけ」という。また、インスタグラムについても、「自分の(日常を記録する)インデックスと思ってる」と語る。そのため、あまりにもフォロワーが増えてしまった以前のもう一つのインスタグラム・アカウント(@shoji_ogawa)については、把握できなくなったため、一度やめて仕切りなおすことにした、と。

 とはいえ、人には知れない大きなプレッシャーもあるのかもしれない。なぜなら、彼自身が気付いている、いないに関わらず、釜ヶ崎と新世界を撮り続けることは、日常の中で大阪人としてのアイデンティティーを確認し続けることになるからだ。そしてそれはもちろん、彼の写真家としてのアイデンティティーの確認にもつながる。事実、写真家にとっての大きな命題の一つである「自分にとって、写真とは?」の質問に彼はこう答える。

「やめれるもんなら、やめたい。でも、まだなんか、(先に)あるはず」と。

今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Shoji Ogawa @shoji_ogawa_unlimited

#日本橋ストリートフェスタ #ストリートフェスタ#ストフェス2015

Shoji Ogawaさん(@shoji_ogawa_unlimited)が投稿した写真 -

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米利下げ9月以降、モルガンSも予想修正 利下げなし

ビジネス

英11─1月賃金上昇率、5年超ぶり低水準 失業率は

ビジネス

スイス中銀、政策金利ゼロに据え置き 過度なフラン高

ビジネス

マスク氏、エヌビディア製半導体の大口発注継続を表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 10
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story