コラム

アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないのか?

2025年07月09日(水)11時40分

ということで、自然の脅威は神の与えた試練だと信じられているわけですが、その一方で、神はこの北アメリカの大地に、石油という奇跡的な恩恵を与えてくれたという「信仰」も伴っています。この石油という恩恵があるので、人間は大自然と戦って、苛酷な環境の中で開拓を進めることができたというわけです。左派の人々は、その化石燃料の使用も敵視してくるわけで、これは理解できないだけでなく、神と自分たちへの敵対行為だという感覚になるのです。

そのような自然観が、宗教的信念になっていることで、アメリカの保守派は温暖化理論を一切認めようとしないのです。もちろん、そこには大都市や欧州の左派イデオロギーへの対抗心もあると思いますが、それ以前の問題として開拓者が北アメリカ大陸の苛酷な自然と闘い続ける中で定着した一種の「肌感覚」があると考えられます。

テキサス州では、現在でもまだ不明者の捜索が続けられる一方で、あまりにも深刻な被害を前にして、全州が喪に服しているのが現状です。ですが、猛暑に苦しむ日本や欧州からは排出ガス抑制への強い意見が出ている一方で、テキサス州の場合は、明らかに温暖化によって起きた惨事であるにもかかわらず、環境問題に関する議論は全く起きていないのです。


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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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