コラム

投票直前の今、最も感染リスクが高いのはトランプ派集会

2020年10月13日(火)19時30分

冷静に考えれば、そうした政治集会では、大統領から直接感染する可能性は少ないでしょう。ですが、この種の集会というのは「最も気にしない人」が集結しているというのは間違いないわけで、リスクは相当に高いイベントになります。そうなると「接戦州における投票行動未決定者」がそんな集会に行くとは考えられません。また集会に行く熱心なトランプ信者の声が、無党派層に届くとも思えません。

まだ最終的な情勢判断をするには早いですが、コロナ禍を利用して強気の姿勢をアピールするトランプ大統領の戦術は、それほど効果はないのではないかと思えるのです。ただ、大統領はこの選挙戦の最終局面においては、無党派層つまり未決定層へのアピールではなく、極端な立場を取るコア支持層を固めることに躍起になっています。こうなると、孤立感を強めるそうしたグループが、大統領に煽られて暴力沙汰などを起こすことが真剣に心配されます。

先週末には、ミシガン州でコロナ対策に不満を持った極右グループが、民主党の女性知事を誘拐しようとした未遂事件がありました。退役軍人2人を含むグループの13人は、ボディービルに熱中しており、コロナ禍でスポーツジムへの営業停止命令が出ていたことへの恨みを口にしていたそうです。とにかく、そうした極端なグループによる選挙妨害をどう抑え込んでいくのか、選挙戦終盤の最も大きなテーマはそこになると考えられます。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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