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東北の人々にとって「語り」が意味するもの

新型コロナの影響で、今年各地の追悼行事は控えられた Athit Perawongmetha-REUTERS
<悲劇を寓話にすることで、人々は痛みを受け止め、乗り越えてきた>
東日本大震災から9年の歳月が流れました。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、大きな追悼行事は控えられましたが、各メディアにおける震災に関する報道は比較的充実していたように思います。もしかしたら、社会における不安の増大が、あらためて被災者の声に耳を傾ける姿勢になっているのかもしれません。
それはともかく、2011年5月に岩手県庁のご厚意で陸前高田と大船渡を取材させていただいた時から、私には1つの問いが念頭から離れませんでした。それは、東北の人々は、どうしてこのような膨大な「死」という事実、あるいは記憶に耐えていけるのかという問いです。
その問いに答えてくれる1冊の本に出会うことができました。
それは、1975年に「みやぎ民話の会」を設立して以来、東北の民話を「採訪」し続けている小野和子氏の『あいたくて ききたくて 旅にでる(パンプクエイクス刊)』です。
小野氏については、2015年にプリンストン大学で行われたイベントに参加された際にお目にかかることができ、本欄でもその業績と、映画『うたうひと』において紹介された「人々に民話を語らせる」シーンの意味合いなどをお伝えしたことがあります。
宮城県を中心とした東北の民話に関しては多くの著書を刊行されている小野氏ですが、今回の『あいたくて ききたくて 旅にでる』は特別な重みをもった1冊です。
3つ指摘させていただきたいと思います。
まず第1は、本書では小野氏が自身の肉声を徹底的に語っておられるということです。民話を集めた本というのは、それこそ柳田國男の『遠野物語』から、小野氏のこれまでのお仕事まで、それぞれの土地で集めた民話を紹介するのが主であり、著者による「採訪」のプロセスや主観的な感想はあくまで従というのが常でした。
ですが、本書は異なります。小野氏自身の「語り」で満たされているのです。「その土地へはこう行って、ある人に紹介されて、その結果、その人に出会って1つの民話を聞かせてもらえた」という「採訪」の経緯だけでなく、小野氏自身の人生、それこそご家族への思いや、飛騨高山出身で東北の文化を「外部から」で見ることのできた視点などが生々しく語られています。
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