コラム

暗黒のクリスマス・イブ、米株安を招いたトランプ政権への3つの不信

2018年12月25日(火)16時40分

2つ目としては、同じく23日の日曜日に、トランプ政権のムニューシン財務長官が、JPモルガン・チェイスのジェームズ・ダイモンCEOなど、大手銀行6行のCEOに電話をかけまくって「アメリカの景気は大丈夫か? オタクの銀行の資金繰りは健全か?」というようなことを聞いて回ったという問題があります。

そのうえで、「各行ともに大丈夫という返答を得た」ということを公表したのですが、市場ではこのムニューシン長官の行動は「意味不明」だとして、大変に嫌われました。つまり、トランプ政権は「もしかすると金融危機が起こるかもしれない」という理由なき恐怖感を持っている、そのような政権がロクな経済運営ができるはずはないということだからです。

3つ目としては、「国境の壁」にこだわるあまりに、今回のクリスマス休暇に当たって「平気で政府閉鎖をやってしまった」という政権の姿勢が問題視されています。この問題に関しては、今はまだ初当選しただけで議員に就任していないオカシオコルテス次期議員(下院、ニューヨーク14区選出、民主党)が「これからは、政府閉鎖になったら議員歳費も支給停止とすべき」と噛み付くなど、新年3日から始まる第116新議会を前にして、政局大荒れの前哨戦になっているのですが、そうした状況の全体が市場から嫌われているのだと思います。

もちろん最大の問題は、「中国との貿易戦争」です。米中のお互いを傷つけるだけのこの問題について、年明けには出口は見つけなくてはなりません。ですが、その先行きに対して、アメリカの市場は恐怖感を抱いていると言ってもいいでしょう。あくまで、この問題が中心にあるのは事実ですが、これに加えて、トランプ政権の経済に対する姿勢全体に対して市場は不信任を突きつけた、今回の事態については、そのように見るのが妥当と考えられます。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

ニュース速報

ワールド

情報BOX:新型コロナウイルスを巡る日本政府の対応

ビジネス

サムスン電子、第1四半期は3%営業増益の見通し 半

ビジネス

日経平均は一進一退、1万9000円を意識 米株先物

ワールド

インド、薬品の輸出制限をおおむね解除 米国が強く要

MAGAZINE

特集:ルポ五輪延期

2020-4・14号(4/ 7発売)

「1年延期」という美談の下に隠れた真実── IOC、日本政府、東京都の権謀術数と打算を追う

人気ランキング

  • 1

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 2

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に

  • 3

    新型コロナで都市封鎖しないスウェーデンに、感染爆発の警告

  • 4

    「感染者ゼロ」北朝鮮の新型コロナウイルス対策

  • 5

    「コロナ後の世界」は来るか?

  • 6

    コロナで破局?ベビーブーム? 「自宅待機」で変わ…

  • 7

    安倍首相、7日に緊急事態宣言・8日発効で調整 首都圏…

  • 8

    マスク姿のアジア人女性がニューヨークで暴行受ける

  • 9

    新型コロナウイルス感染爆発で顕在化 「習近平vs.中…

  • 10

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

  • 1

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に

  • 2

    ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」大規模支援

  • 3

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 4

    ブラジル大統領ロックダウンを拒否「どうせ誰もがい…

  • 5

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

  • 6

    台湾人だけが知る、志村けんが台湾に愛された深い理由

  • 7

    日本が新型肺炎に強かった理由

  • 8

    新型コロナ、若者ばかりが責められて「中高年」の問…

  • 9

    コロナ禍のアメリカでひよこがバカ売れ

  • 10

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を…

  • 1

    一斉休校でわかった日本人のレベルの低さ

  • 2

    日本が新型肺炎に強かった理由

  • 3

    「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?

  • 4

    BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロ…

  • 5

    ドイツ政府「アーティストは必要不可欠であるだけで…

  • 6

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

  • 7

    韓国はなぜ日本の入国制限に猛反発したのか

  • 8

    新型コロナショック対策:消費税減税も現金給付も100…

  • 9

    フランスから見ると驚愕の域、日本の鉄道のあり得な…

  • 10

    豪でトイレットペーパーめぐって乱闘 英・独のスー…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!