コラム

第二次大戦終結70周年の「9月3日」をどうするか

2015年03月10日(火)11時09分

 4つ目は、私はこれが一番正当と思うのですが、「70周年」を本当に記念して、世界戦争終結にちなんだ追悼行事を行うのであれば、1945年当時と同様に「東京湾内」で行うべきと思います。オリジナルのUSSミズーリは既に退役して真珠湾で静態保存されていますから回航は無理。ですから、それに代わる米艦と海上自衛隊の艦船を投錨してブリッジで渡し、その両艦の艦上で行事を行うか、あるいは例えばの話ですが「海ほたる」でやっても良いと思います。

 仮に「9月3日に東京湾内で」追悼行事を行うのであれば、まだ間に合うのですから、日米の間では「安倍首相の真珠湾献花、オバマ大統領の広島献花」をその前に済ませておくべきです。日中の間でも首脳会談を実現しておくのはもちろんとして、その際に安倍首相による中国の戦争犠牲者追悼の献花を「適切な場所」で行い、習近平主席には例えば千鳥ケ淵の無名戦死者の碑に献花してもらうなど「相互性」を守った「共同追悼の精神」を確立しておき、その上で「9月3日」を迎えるという流れに持って行ければ良いと思います。

 こうした外交を主導できれば、安倍政権は間違いなく世界の歴史に名前を残すことができるし、まだ間に合うと思います。この「70周年」という機会を生かして、ぜひとも和解と追悼の時間を作って欲しいと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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