アルミに供給不安、アフリカ製錬所が来年操業休止 欧州企業は代替模索
12月16日、オーストラリアの資源会社サウス32は、傘下のモザンビークのアルミニウム製錬企業モザール(年間精錬能力56万トン)が製錬施設の保守のため来年3月半ばから操業を休止すると発表した。サウス32のロゴ、パースで2015年11月撮影。REUTERS/David Gray
Tom Daly Pratima Desai
[ロンドン 16日 ロイター] - オーストラリアの資源会社サウス32は16日、傘下のモザンビークのアルミニウム製錬企業モザール(年間精錬能力56万トン)が製錬施設の保守のため来年3月半ばから操業を休止すると発表した。地元電力会社およびモザンビーク政府との協議で十分な電力を確保できなかったことを受けた措置。
アナリストの話では、モザールの操業休止により世界のアルミニウム供給量は来年、減少すると見込まれ、同社の中核顧客である欧州連合(EU)の企業は代替のアルミニウムを探す必要に迫られそうだ。
トレード・データ・モニターの統計によると、モザールは2025年1-10月に約43万トンのアルミニウムをEUへ出荷。これによりモザンビークはEUへのプライマリーメタル輸出で首位となった。
INGのアナリスト、エワ・マンタイ氏は電子メールで世界のアルミニウム市場について「来年は60万トン程度の供給不足になる」と予想した。INGはこれまで、同市場が20万トンの供給不足になると見込んでいた。
マンタイ氏は「欧州はモザンビークの減少分を主にカナダと中東からの輸入増加で穴埋めすることになりそうだ」と付け加えた。
ブリュッセルを拠点とする業界団体ヨーロピアン・アルミニウムは欧州のアルミニウム需要を年間約900万トンと推計している。
モザールの操業休止は、センチュリー・アルミニウムがアイスランドに保有する製錬所の操業休止と時期が重なる。この製錬所は電力不足のため生産量を3分の2ほど削減している。アイスランドは今年、アルミニウムのEUへの供給で第2位となっている。
調査会社CRUのアルミニウム素材部門責任者、ロス・ストラチャン氏によると、CRUは来年のアルミニウム市場の見通しをモザールの操業休止により、従来の約20万トンの供給過剰から供給不足に修正した。同氏は、不足分は中東・湾岸地域が穴埋めするとみている。「この地域には、高い価格に引き付けられて欧州への出荷を増やしそうな複数の輸出業者が存在する」と語った。





