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【写真特集】発達障害の生きづらさをありのままに伝えたい 写真家と当事者たちの共創
Un/Masked
Photographs by Naoto Yoshida
<リーブ>幼い頃に自閉症の診断を受けたリーブ(写真右)にとって、音楽の趣味を共有するパートナーのダリアの存在は精神的な支えだ
右上)「人と接していると自分がエイリアンみたいに思えてくる」とリーブは冗談交じりに話す。友人宅の新年のパーティーでは初対面の人もいて、その場をしのぐ手段は写真を撮ることだった
右下)「人間よりも動物のほうが通じ合える」──動物写真家になることが夢であるリーブは、国内の公園や自然保護区に野生動物を撮りに行く。彼の言葉は、彼の動物に対する人一倍の愛情表現でもある
左上)「アルコールは僕を『普通』にしてくれる」──初対面の人がいるパーティーでリーブは、飲酒を通して場に溶け込もうとした。引用符でくくった『Normal(普通)』には彼の社会へのまなざしが込められている
左下)「時々、自分は独りぼっちだと感じる」──しばしば孤独感にさいなまれるリーブにとって、ポラロイドカメラで自らの心象を表現する行為はセラピーのようなものだったと、後になって話してくれた
<プリヤンカ>プリヤンカは日常に息が詰まると、イギリス南岸の街ブライトンに出向く。海を眺めたり、漂着したガラス片を拾ったりするのが好きだ
右上)「そんなふうに見えない」──学校に通い服飾店での勤務にいそしむプリヤンカは、自らの特性(自閉症)を話すとしばしばこう言われてきた。表には出せない違和感や生きづらさを彼女は内に抱えてきた
右下)「一日の終わりにその日の仮面を脱ぐ感じ」──当事者が自身の特性を隠すことは「masking」と表現される。仕事中、心にマスクをかぶる時、彼女は「自分は何者なんだろう」という感覚にとらわれる
左上)「たまに、ペットが唯一の理解者みたいに思える」──プリヤンカにとって、動物と触れ合うことは癒やしだ。選別的になりがちな人間関係から離れた彼女を、ハムスターはありのままに受け入れてくれた
左下)「ガラスの破片みたいになれたらな」──どこかで誰かが海に投げ入れた瓶が砕けて海を漂い、波にもまれ丸みを帯びたそれを誰かが拾い上げる。プリヤンカはそんな「ガラスの物語」に強く引かれている
<リジー>ロンドンの南西にある街に住むリジーは、帰省したときには元農場にぽつんと立つ家で猫たちと遊んだり、野原を散策するのが好きだ
右)「植物の手入れをしていると、自分を大事にしようと思える」──リジーの部屋にはもともと温室だったスペースがある。陽光が降り注ぐ自分の世界で、彼女は植物と共に暮らしている
左上)「ADHDと自閉症が頭の中でいつもけんかしてるみたいな感じ」──両者は重なることもあれば相反することもある。その時どちらに偏っているのかは、例えば自室の散らかり具合にも表れる
左下)「実家へ帰るのは思い出がありすぎてつらい」「いつも自分は駄目だと思ってた」──大人になってADHD・自閉症と診断されたリジーの幼い頃はトラブル続き。両親との衝突も日常茶飯事で、実家は安らぎとトラウマが同居する複雑な場所だ
【連載21周年】 Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」
2025年6月24日号 掲載

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