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【写真特集】脅かされる野生動物のパラダイス
PARADISE, INC.
Photographs by Guillaume Bonn

マサイ・マラ国立保護区に隣接する採石場に寝そべるライオン。石材は新たな観光客向け宿泊施設の建設に使われる。本来なら保護区の周囲の土地も野生動物の生活場所だったが、今では人間の経済活動に侵食されつつある

マサイ・マラ国立保護区はさまざまな野生動物を観察できる人気のサファリ観光地だ。しかし宿泊施設の建設やオーバーツーリズムによって、自然のバランスの上に成り立ってきた保護区の生態系は崩壊の危機に直面している

ケニア南西部のマサイ・マラ国立保護区のサバンナにいるキリンの群れ。ここではシマウマやヌー、アフリカスイギュウやゾウなど多くの野生動物の群れを一度に見ることができ、人気の観光地となっている

野生動物の保護区では、近隣のロッジのシェフが屋外で慌ただしく働く。宿泊客が早朝の熱気球観光から戻ってくるまでに朝食を準備するのだという

民間アパートに改築されることになったモンバサの高層ビル。過去50年でケニアの人口は約6倍に膨れ上がり、今後はさらに増加すると見込まれている。それに伴って、開発と環境破壊も加速すると予想される
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人間の経済活動に侵食されつつある日曜の午後にビーチでくつろぐケニアの人々。アフリカの人口は2050年までに全世界の人口の25%を占めるまで増加すると予測されている。それは必然的に自然環境や野生動物にとっての脅威となる

ケニア北西部のトゥルカナは、乾燥地帯にあり経済発展から取り残された地域で、牧畜民のコミュニティーが伝統的な生活を維持していた。しかし近年、油田が発見されたことで開発の波にのみ込まれている

マサイ・マラ国立保護区外れの5つ星ロッジから出たゴミをあさるイノシシ。保護区の生態系はホテルや宿泊施設の違法行為によって脅かされているが、管理当局には汚職が横行しているためこうした違法行為は見逃されている
撮影:ギヨーム・ボン
ドキュメンタリー写真家兼映像作家。違法象牙取引、ダルフールの人道危機、コンゴ民主共和国での国連平和維持部隊による児童性虐待などを取材し、米バニティ・フェア誌、ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿してきた。本作は、新刊写真集『パラダイス・インク』(エメリア社刊)に収録されている
【連載21周年】 Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」
2025年6月10日号 掲載
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