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【写真特集】脅かされる野生動物のパラダイス
PARADISE, INC.
Photographs by Guillaume Bonn

ナイロビ国立公園を横断して建設された鉄道の陸橋のそばで、たたずむシマウマの群れ。アフリカの草原はもはや無限に広がる大地ではない。人間が建設する農園や集落、工場や道路などで分断されたパッチワーク状になってしまった
<中国の経済支援を受けたケニアの鉄道が、野生動物の生息域を分断している──深刻化する野生動物と環境破壊のせめぎあいを20年以上にわたって追った写真集『パラダイス・インク』>
ケニア東南部の沿岸都市モンバサと首都ナイロビ、さらに内陸部をつなぐ全長約600キロに及ぶ鉄道は、中国の経済支援を受けて建設され、中国紙では「野生動物保護と調和した鉄道」と紹介された。
しかし首都郊外のナイロビ国立公園には、キリン、ヒョウ、ライオン、サイ、シマウマといった多くの野生動物が生息しており、鉄道を支えるコンクリートの陸橋は、こうした野生動物の生息域を分断し、脅かしている。
マダガスカル生まれでケニア育ちの写真家ギヨーム・ボンは、ソマリア、ボツワナ、南アフリカなどで、深刻化する野生動物と環境破壊とのせめぎ合いを20年以上にわたって追ってきた。今年4月に発刊された『パラダイス・インク』(エメリア社刊)は、その最新の記録集だ。
ボンは開発そのものに反対してはいないが、「環境破壊や騒音の影響で、野生動物は生息域を失っている」と語る。経済成長を追求するあまり、各国政府が野生動物と自然環境の保護をなおざりにすることを危惧している。
All photographs are copyright Guillaume Bonn from the book"Paradise Inc." published by Hemeria
著者:Guillaume Bonn
書名:Paradise, Inc.
ISBN: 978-2-490952-53-3
Preface by Ezekiel Ole Katato
Introduction by Jon Lee Anderso
Published by Hemeria
Hardcover | 184 Pages | 21 × 27 cm | €39.00
【連載21周年】 Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」
2025年6月10日号掲載
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