Picture Power

【写真特集】戦火に生まれ、戦火に死ぬクルド兵士

WE CAME FROM FIRE

Photographs by JOEY LAWRENCE

2019年07月19日(金)17時00分

ヤジディ女性部隊に志願した女性兵士(15年5月)

<米軍と連携しISIS掃討作戦に貢献したクルド人の兵士はこう語る「われわれは火から生まれ、火に帰る」>

シリアとイラクを混乱に陥れたテロ組織ISIS(自称イスラム国)は、支配地域の大部分を失い弱体化している。5年以上にわたる戦いで殺戮や破壊された街並み、占領都市の奪還といったニュースは頻繁に報じられたが、戦闘の最前線に立つ人々の姿は謎に包まれたままだ。

米軍と連携し、ISIS掃討作戦に貢献したのがクルド人勢力。写真家のジョーイ・ローレンスはシリアとイラクのクルド人民兵組織を2015年以降数度にわたり訪れ、彼らにカメラを向けた。そこで目の当たりにしたのは、あまりにも過酷な状況と勇敢な戦士の姿だった。

戦闘の情勢や撮影場所ではなく「戦士個人に焦点を当てたかった」と、ローレンスは言う。撮影に応じた若い女性兵士のサリャは寡黙で、自らの生い立ちを語ることはなかったが、武器を握る手には激しい戦闘をくぐり抜けてきた証し――数々のやけどや傷痕が見て取れた。

ある夜、たき火を囲んでくつろぐ兵士がこう話した。クルド人にとって火は極めて重要だ。古い格言にあるように「われわれは火から生まれ、火に帰る」。この言葉からタイトルを取ったローレンスの写真集『We Came From Fire』は、ニュースでは伝わらないクルド兵士の素顔を率直に映し出す。


ppkurd02.jpg

イラク北部ニナワ州の街カヤラで、住居に迫る炎の消火活動に当たる消防士たちを自宅屋上から見守る一家(16年10月)


ppkurd03.jpg

イラクのクルド人自治区の中心都市エルビル郊外のマフムールでパトロールに当たるクルド労働者党(PKK)のゲリラ兵士(15年3月)


ppkurd04.jpg

トルコと国境を接するシリア北部のコバニ(アインアルアラブ)にある、破壊されたISIS戦車の残骸で遊ぶ子供たち(16年11月)


ppkurd05.jpg

カヤラで燃え上がる油田。その近くに立つ少年カリムと保護者のナダク(16年10月)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米2回目の関税交渉、赤沢氏「突っ込んだ議論」 次

ワールド

原油先物が上昇、米中貿易戦争の緩和期待で

ビジネス

午前の日経平均は続伸、一時500円高 米株高や円安

ビジネス

丸紅、26年3月期は1.4%の増益予想 非資源がけ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 9
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 10
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story