コラム

「生娘」発言はアウトだけど、ツッコミ不在の社会も危険だ(パックン)

2022年04月23日(土)17時00分

しかし、一般の人は日ごろからツッコミ役を常に隣に置けない。そこで危惧されるのは、表現の禁止区域が拡大しているなか、無意識に問題発言をして厳しい制裁を食らう危険性だ。考えてみれば、性別、年齢、立場を指す表現は普段から飛び交っている。「おばちゃんのハートを鷲掴み!」「おっさんの血が騒ぐ!」「マダムキラー!」などなど、テレビでもよく聞く表現でも「差別を助長する言葉」に敏感な社会ではどんどん許されなくなるかもしれない。

そんなとき、価値観のシフト、社会の暗黙のルール変更に気付いていない人が「〇〇蔑視だ!」とされ始めている表現を不意に使ってしまうことはほぼ不可避だろう。僕も気を付けているが、いつ自爆してもおかしくないと思っている。あっ、「自爆って、テロリスト蔑視だ!」と言われませんように(汗)。

より優しい言葉遣い、より平等な社会を目指す運動は、僕も心から応援しているし、貢献したいことだ。だが、不意な違反への過剰な制裁にも気を付けたい。「言葉ポリス」が生まれると、表現の幅、議論の幅が一気に狭まるし、寛容な社会を目指して狭量な市民になってはいけないから!

ね、マックン?  あ、隣にいない......。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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