コラム

「投資家パックン」と読み解く、2019年世界経済の新潮流

2018年12月25日(火)18時05分

例えば最近の洗濯機はポンプが付いていて、お風呂の残り湯で洗濯ができるようになっている。次世代の浴槽は、洗濯機の残り湯でお風呂にも入れるようになると、僕は読む。

しかし、対策は足りず、温暖化はより深刻になるだろう。2019年も台風や山火事、ゲリラ豪雨、干ばつ、豪雪などの自然災害が世界各地で起きるはず。復興を応援する意味でも、建設業、重機メーカーなどに、また食糧不足対策に協力するためにも農業関係や農薬メーカーなどに投資をするといいかもしれない。そして、個人として、防災セットと備蓄にも投資しよう。

テクノロジー

温暖化に負けないぐらいヒートアップしているのがIT、AI(人工知能)、ロボットなどの技術分野だ。もちろん脅威となる一面もある。ロボットは職人や作業員の仕事を奪う上、事務員、会計士なども含めて、10〜50%の職種がAIに代替されるという。お笑い芸人は大丈夫だから、僕は気にしないけどね。逆に投資家として喜んでいる。AI導入によって効率がよくなり、人件費も削減できる。企業の利益率も株価も上がるはず。しかも、怖ければAIに投資をすればいいし。

僕は先月AIを買った。株ではなく、スマートスピーカーだけど。準備は電源を入れて、Wi-Fiにつなげるだけ。そして、声を掛けると、何でもやってくれる。天気予報を教えたり、音楽をかけたり、ほかのスマート製品とネットワークを組めば、電気を消したり、エアコンの設定を変えたりもできる。聞き間違いもあるが、うちの子供よりもはるかにレスポンスがいい。

しかも、「アレクサ、ジョークを教えて」と頼むと、「先生、私はとても不安です。初めて手術を受けるので......」「はいはい。その気持ちよく分かる。僕も初めて手術をするので......」と、淡々と語る。これは家族の人気者になるね。子供より言うことを聞くし、パパより面白い。やはり本業は脅かされる! AIの株を買おう。

モノ同士の通信が可能なIoT(モノのインターネット)も要注目。例えば「スマート冷蔵庫」は使って便利なだけではなく、消費を促進する効果もありそう。牛乳、卵など切らしたくない商品を設定すれば、なくなる前に冷蔵庫が勝手にネットで注文するという。家電のほか、オンライン通販、食料品など、複数の分野に恩恵がありそう。僕の読みとしては、世の中は親より機械に詳しい子供にスマート冷蔵庫の設定を任せる家庭が多いとみて、ガリガリ君の株を買うかな。

◇ ◇ ◇

2019年は政治も経済も激動するだろう。でも不安のなか、世界規模で探せば必ずチャンスはあるはず。まずは、一つの企業や国、通貨に全てを懸けないこと。また、リスク・ヘッジのため、本業以外の収入源を考えてもいいかもしれない。副業として、外国人タレントとかはどう?

<ニューズウィーク日本版SPECIAL ISSUE「世界経済入門2019」掲載>

【関連記事】仕事を奪うAIと、予想外の仕事を創り出すAI

※ニューズウィーク日本版SPECIAL ISSUE「世界経済入門2019」好評発売中。こちらからもお買い求めになれます。

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で

ワールド

ウクライナ提案のクリスマス停戦、和平合意成立次第=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story