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大江千里が語る、「僕にとって『書く』とは何か」
新著『マンハッタンに陽はまた昇る 60歳から始まる青春グラフィティ』(大江の自宅にて撮影)SENRI OE
<ジャズピアニスト・大江千里がニューヨークでの暮らしをつづった3冊目のエッセイ集を上梓。歌詞と文章では、書くことにおいて何が違うのか。大江にとって「書く」ことの極意とは>
僕にとって「書く」こととは、「募る想い」に輪郭をつけること。何を考え、何を想うかを言葉と抑揚のペンでひたすら追い掛けて姿をキャッチする。
本業の歌詞は制約が多くて、いまさら半端なものは書けないとプライドが肥大して自由が利かない。だから文章を書くことは僕にとって、純粋なモチベーションの発露だ。
音楽を生業にしているので、「書く」にはまずリズムが気になる。説明的過ぎたり、グルーブのない文章がどうも苦手だ。鼻濁音の出る回数、母音と子音のバランス、話し言葉とト書きの織り成すリズムが好きだ。
人の本を読むといつもクラクラする。誰もが理解できる平易な言葉で所在なげに書く、そんな物書きになれたらと思う。いま60歳だ。とても生きているうちには無理だろう。
うまい文章を書く人に刺激を受け、その虎の威を借りてしばし進む。自分が大作家にでもなった気分で文を進める。書くことで不思議と考えがまとまって整理される。書き進めることにより薄っぺらな自分に気が付いて考えが深まる。
知らなかったアナザーサイドを垣間見る。大概の人間は役者であり、演じながら日常を生きる。光を当てた面によって全く別物のキャラになるから面白い。
最初に書く経験をしたのは中3のとき。「太平洋ひとりぼっち(著・堀江謙一)を読んで」という読書感想文だった。この時はしゃべり言葉で一気に。そしてコンクールで賞をもらった。
その後、書けなかった。高校の入試模試で「水」について文章を書けという問題に「水といえば商売である。全てのものは移ろう水のように、手のひらから溢れて行ってしまう。信用に値するものではない......」と書き、0点をもらう。これは書いて書いて描きまくるしかないと思い、ことあるごとに記すように。
音楽家としてデビューした後にも書くチャンスがあり、挑戦してその都度課題が残る。歌詞だと己を消せる。
実はシンガーソングライターとは自分を歌っているようで、自分を消すことから始まっている。こだわりを抹殺して聴く人に寄り添い書くと、歌詞の主人公が動き始めスラスラせりふをしゃべる。
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