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再送-〔兜町ウオッチャー〕「高市ラリー」再開か、解散検討報道で思惑 リスクは中国・為替

2026年01月13日(火)07時12分

ファイル写真:2025年12月30日、東京証券取引所で行われた2025年取引終了セレモニーでスピーチする高市早苗首相。REUTERS/Kim Kyung-Hoon/File Photo

Noriyuki Hirata

[東‍京 10日 ロイター] - 高市早苗首相が衆院解散の検討に入ったと伝わり、週‌末夜間の日経平均先物が急騰しドル/円は上昇した。「選挙は買い」の経験則(アノマリー)に則った動きといえ、政策期待が株価を押し上げる「高市ラリー」再開の思惑が出ている。一方、足元で日中関係が悪化するなか、中国の警戒感を高め‌かねないとの懸念もくすぶる。

報道通り早期の解散と​なれば、投資家の株高への期待の盛り上がりは「いつも(の選挙)以上だろう」とマネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストはみている。

日経平均先物は9日夜、高市首相の解散検討を伝えた一部報道を受けて急進した。5万2200円付近で推移していたシカゴ日経平均先物円建ては、報道後には一時5万3800円台に急上昇。思惑が後退するような報道がなければ、連休明けには株高が先行しそうだ。

高市氏の政策への思惑は、株高を促してきた「実績」‌もある。

2025年9月に石破茂前首相が退陣表明して以降、高市ラリーの動きが強まった。10月の自民党総裁選での高市氏勝利を織り込みながら株高に弾みがつき、首相就任後の11月4日には取引時間中の史上最高値5万2636円をつけた。この間に日経平均は24%上昇した。

国内メディアの世論調査では、高市内閣の支持率は発足以降6─7割を中心に高水準を維持している。早期解散で与党が勢力を増すとの思惑を促し、成長戦略を軸とする政策の実現可能性が高まるとの期待感につながりやすいともみられている。

高市政権は17の戦略分野を示し、これまでも防衛やエネルギーなど関連銘柄は物色されてきた。その多くは高値圏にあるが「必要に応じて財政出動するとの思惑から、一層、物色されるのではないか」と三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストはみる。

<カギ握る「変化」への思惑>

これまで、選挙で「変化」の気運が高まったケースは大相場になった共通点が​ある。2005年は郵政民営化、09年は政権交代、12年は政権交代とアベノミクスが、それぞれテーマになった。とりわけ05年⁠と12年は、選挙後も株高基調が継続した。

今回はどうか。「責任ある積極財政」を掲げる高市政権について、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チー‍フ株式ストラテジストは、供給力を高め将来の賃上げを確実にするような投資を促そうとしている点が大きな「変化」だと指摘し「こうした投資は3年後には日本の供給力の向上につながる」との見立てを示す。

小泉氏や安倍氏の際と異なる点としては、政治とカネの問題などで自民党が少数与党になっていることがある。この点、早期解散・総選挙なら高市氏の支持率の高さがけん引し「議席数は近年ないぐらい回復するのではないか。そうなれば政策も進めやすくなる」(マネ‍ックスの広木氏)との見方がある。

日本株への影響力の大きい海外投資家からの高市氏への認知は小泉氏や安倍氏ほどに‍は広がっ‌ていないとの見方がある一方、「議席数が大きく伸びれば勝利と受け止められ、政権安定への思惑から‍海外投資家もポジティブと受け止めるだろう」(三井住友DSAMの市川氏)とみられている。

<為替介入や日中悪化のリスク>

目配りする必要のあるリスクの一つは、政府による為替介入だ。早期解散検討の報道を受けて一時158円台まで円安が進んでおり、ドルが160円方向へ動けば介入警戒が強まりやすい。介入で円高が促されれば、株高機運も冷や水を浴びせられかねない。

日中関係の悪化もリスク要因だ。中国政府は、高市首相の台湾有事を巡る国会答弁を批判し、中国国民に日本への渡航自粛を求めたり、軍民両用(デュ⁠アルユース)品目の対日輸出規制強化に動き、株高機運に水を差してきた経緯がある。

早期解散で政権基盤が強まるようなら、中国側が警戒を強めかねないとの見方は根強い。「選挙で勝つとなると、(中国の反日姿勢が)エスカレートして⁠くるリスクがある」とマネックスの広木氏は話す。

もっとも、これまでの中‍国の出方については「政治的な圧力をかけるにとどまり、経済的なダメージを与える趣旨はなさそうだ」(三井住友DSAMの市川氏)との見方もある。輸出規制にしても自国の関連企業の業績に響きかねない面があるほか、半導体製造装置など日本製品に依存する分野もあると市場では意識されている。​中国政府は後日、軍民両用品の輸出規制強化について、民生用途の輸出には影響しないと説明した。

選挙情勢にも目配りは必要になる。自民党が議席を増やし、政権運営が進みやすくなることへの期待が市場にはあるが、連立を組む日本維新の会や連立入りが取りざたされる国民民主党と自民党との間では「選挙区調整には時間が足りず、自民党がどこまで議席を増やせるかはわからない」とニッセイ基礎研の井出氏は話している。

ロイター
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