最新記事
シリーズ日本再発見

父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サンリオ「創業者の孫」が見せた圧倒的な実力とは?

TOMOKUNI TSUJI

2025年07月18日(金)15時33分
レジス・アルノー(フランス・ジャポン・エコー編集長、フィガロ紙東京特派員)

辻の判断で特に重要だったのは、中塚亘(元ボストン・コンサルティグ)や大塚泰之(元デロイトトーマスコンサルティング)、齋藤陽史(元ナムコUSA)など、グローバルな視点と経験を持つ人物を経営幹部に迎えたことだ。

「優秀なだけではなく、一緒に働いているイメージが湧く人」を選んだという。


その一方で、社長を退いた後も会長の座にとどまっていた祖父とは、言い合いになることもあった。それでも企業理念である「みんななかよく」を実践して、コミュニケーションに努めた。

「毎日15分でも直接話をした。それを1年続けるうちに祖父も私の考えを理解して、『任せる』と思ってくれたようだ」

そうして辻は、デジタル分野にも事業を拡大。「経営者として非常に大きな功績だ」と、日本のカワイイ文化に詳しい中央大学のジョシュア・ポール・デール教授は語る。

こうした改革はハローキティも目を見張るほどの業績をもたらした。辻が社長に就任した21年3月期のサンリオの売上高は410億円、営業利益は30億円超の赤字だったが、25年3月期の売上高は約1449億円、営業利益は518億円、営業利益率は35.8%に達した。

株価も、辻が社長に就任した20年7月1日は500円台だったのが、直近では6700円超と12倍以上に膨らんだ。これはある意味、リベンジともいえる。創業者の祖父は有能な経営者でありながら、1990年代に投資戦略を誤って莫大な損失を出した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ブラジル前大統領宅を捜索 最高裁令状、米逃亡懸念か

ビジネス

米金利、今後12カ月で「かなり」低下する可能性=シ

ビジネス

米アメックス、第2四半期業績好調 富裕層支出が下支

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、7月速報値61.8 イン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 8
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 9
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 10
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中