最新記事
シリーズ日本再発見

浴衣には江戸っ子の「粋」と反骨精神が詰まっていた...文様で楽しむ「大人のゆかた」の魅力

2023年07月03日(月)10時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

31-20230628.jpg

「千鳥」海辺を飛ぶ千鳥の大群を描いた古くて新しいデザインです。かわいらしい千鳥が群れで飛んでいる様子を縦と横をそろえないで配置しています 『老舗呉服店 竺仙のゆかた柄100選レターブック』(芸術新聞社)より


──江戸時代における、ゆかたとはどんなものだったのでしょうか

そのうち、幕府の財政が逼迫してくると、庶民や商人のほうが裕福になってくる。贅沢ができるようになった庶民に対して、幕府はたびたび奢侈禁止令を出します。

絹ものはもちろん、派手な色や柄の大きさまで制限されるようになると、庶民たちは木綿をどう着るか工夫を凝らすようになります。

江戸っ子の「粋」の概念が生まれるのもこの頃です。奢侈禁止への反骨精神もあって、一見、渋好みで豪華には見えないけれど、細かいところにまで手をかけたものを好むようになります。

当時は、手間賃も安ければ時間もあった。だから、ものすごく手のこんだものがつくれたんですね。「粋」という江戸っ子の美意識が浸透していくにつれ、ゆたかもどんどん粋になっていきました。


──当時のゆかたは残っているのでしょうか

ただ残念なことに、庶民のものだったがゆえに、ほとんど残っていないのです。着て着て着古して、最後は灰になるまで使い切った。今でいえば、リサイクルの極致、とてもエコだったのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道

ワールド

英4月製造業PMI改定値は45.4、米関税懸念で輸

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中