最新記事
シリーズ日本再発見

「なぜ外国人観光客は日本の文化を勉強しないのか」と聞かれたクールジャパン専門家は...

2023年01月13日(金)15時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

思い込みを押し付けない

私が出会った強制的なおもてなしの最も奇妙な例として、ある外国人向けの学校の校長が、ある大口の寄付者との間で交わした困った会話について紹介したいと思います。その寄付者は高齢の日本人男性で、日本に対する外国人の関心を高めたいという思いから、定期的にその学校に寄付をしていました。

学校の責任者は、最近の留学生の傾向について話をし、その中でアニメやゲームで日本に興味を持つ学生が多い点についても言及したそうです。もちろん、これは紛れもない事実であり、私の最初の著書『日本のことはマンガとゲームで学びました。』のテーマでもあります。

しかし、その寄付者はそれを受け入れないどころか、責任者に向かって「あなたは間違っている」と怒り出したというのです。彼が「外国人はもっと日本の古典文学に興味を持たなければならない!」と言うので、校長はなんと答えてよいかわからず、すぐに話題を変えたそうです。

もし、あなたがこの校長だったら、どうしますか? 学生が日本の古典文学に興味がないとわかっていても、日本の古典文学に重点を置くように学校のカリキュラムを変更するでしょうか?

私はこの寄付者が、日本の学生がハリーポッターを通じて英語の本に興味を持つことも不適切だと考えているのではないかと思うことがあります。あるいは、シェイクスピアの本だけで子どもたちに英語を教える「べき」だと考えているのかもしれません。

それはもちろん、冗談ですが、いずれにしても、日本に興味を持つのに、どれが正解ということはないのです。海外の日本ファンを増やしたいのであれば、「ああしろ、こうしろ」と言うのではなく、それがどんなことであっても、まずは興味を持ってくれたことに感謝するべきでしょう。


日本はクール!?――間違いだらけの日本の魅力発信
 ベンジャミン・ボアズ 著
 クロスメディア・パブリッシング

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インド製造業PMI、6月は14カ月ぶり高水準 輸出

ワールド

マスク氏企業への補助金削減、DOGEが検討すべき=

ビジネス

消費者心理1.7ポイント改善、判断引き上げ コメ値

ビジネス

仏ルノー、上期112億ドルのノンキャッシュ損失計上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中