コラム

東京近郊の新・チャイナタウンで未知の中華料理に出会う

2018年12月26日(水)15時00分

一方、観光地化されてきているが、中国人が足繁く通うチャイナタウンとして有名になったのは、池袋北口エリアだろう。東武百貨店がある西口の脇にひっそりとある北口を地上に出ると、中国語が聞こえてきて、チャイナタウンに足を踏み入れたことを実感できる。ここには中国料理好きな日本人の間で有名な東北料理店『永利』や、同じく東北料理の『東方紅』、羊やウサギの丸焼きが豪快に堪能できる『聚福楼』など、数えきれないほど数多くの有名中国料理がある。いずれも新華僑が開いた店で、横浜や神戸の中華街と違い、ふだん使いの中国料理だ。

nabe181226.jpg
貴州名物の鍋料理 (筆者撮影)

池袋北口で中国料理店を営んでいるのは在日中国人であり、従業員として働いているのも在日中国人。顧客の多くも在日中国人だ。郊外にある地元密着のチャイナタウンとは異なり、池袋は東京を代表する大繁華街。しかし、日本人の割合は新宿歌舞伎町などと比べると少ないと感じる。池袋で働く在日中国人の中には、JRで20分程度で行ける西川口や蕨(わらび)などに住んでいる人も多い。そのほか、高田馬場~早稲田エリア、横浜市南区、千葉市などにも中国人の胃袋を支える中華料理店は増えている。

在日中国人に取材してみると、「来日したとき、新宿や池袋の日本語学校に通った。そのときからこの辺に住んでいたので馴染みがある。だから、新宿~川口(埼玉)までの埼京線や京浜東北線の沿線に住み着く人が多いのだと思いますよ。その結果、自然とここに中国人のためのチャイナタウンができあがったのでは......」という話だった。

中国人が住むところに必ず中国料理店あり――。これから在日中国人の人口がますます増えていく中で、さらにいくつもの新・チャイナタウンができてくるのかもしれない。

プロフィール

中島恵

中島恵(なかじまけい) ジャーナリスト
山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経てフリージャーナリスト。
中国、香港、台湾、韓国などの社会事情、ビジネス事情などを雑誌、ネット等に執筆している。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』、『中国人の誤解 日本人の誤解』、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか』、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか』、『中国人エリートは日本をめざす』、『なぜ中国人は財布を持たないのか』、『中国人富裕層はなぜ日本の老舗が好きなのか』などがある。

中島恵公式ホームページ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story