トランプの「強硬策」が生んだ皮肉...民主党有力州知事3人が存在感
写真はニューサム・カリフォルニア州知事。ブラジル・ベレンで2025年11月撮影。 REUTERS/Adriano Machado
トランプ米大統領の攻撃的な政策は、経済構造や移民対策を変容させているだけではない。2028年の大統領選に向けて、野党民主党の有力州知事3人を勢いづかせるという皮肉な構図も生み出している。
その3人とはカリフォルニア州のニューサム知事、イリノイ州のプリツカー知事、メリーランド州のムーア知事だ。いずれもトランプ氏の言動を利用して民主党内の基盤を強化し、トランプ氏と好対照となる政策姿勢をより明確に打ち出すとともに、それぞれが地元州以外にも支持層を広げようとしている。
トランプ氏は、来年の議会中間選挙で与党共和党が有利になる選挙区割りに変更するよう同党が優勢な州に働きかけているほか、民主党系の首長がいる都市には軍隊式の不法移民摘発を実施し、連邦予算を大幅に削減。こうした仕打ちに対する民主党側の猛反発が、次期大統領選のために知名度を上げようとしている州知事にとって絶好の機会になった。
次期大統領選への出馬を検討しているニューサム氏は、自らが提唱した住民投票を通じて、カリフォルニアの選挙区を共和党有利に変えようとしたトランプ氏の目論見をくじいた。ニューサム氏はこの成功をテキサス州ヒューストンの集会で民主党員とともに祝福し、カリフォルニアの外での知名度向上を狙ったと見られている。
プリツカー氏は、自身をトランプ氏の強圧的な摘発に対する移民社会の守護者と位置付けている。先週には学校や裁判所で連邦当局による逮捕を禁止する法案に署名。またニューハンプシャー州や中西部ミネソタ州で開かれた民主党の集会に登場し、トランプ氏により大胆に立ち向かうよう党に呼びかけた。
ムーア氏は最近の連邦政府閉鎖中、トランプ氏が連邦職員や低所得層向け食品購入支援制度(SNAP、旧フードスタンプ)の削減を進めたことを強く非難しmメリーランドではSNAPの給付を完全に復活させた。幾つかの激戦州での民主党候補の応援にも飛び回り、こうした行動をトランプ氏の政策に直接対抗する手段としている。





