トランプの「強硬策」が生んだ皮肉...民主党有力州知事3人が存在感
<トランプ氏を止めろ>
3人の州知事の動きは、昨年の大統領選で党候補のカマラ・ハリス氏がトランプ氏に敗北し、共和党が議会上下両院を制した後、党勢回復が求められていた民主党内に安堵(あんど)と興奮をもたらした。
ヒューストンでニューサム氏が演説した集会に参加したハリス郡民主党委員長を務めるマイク・ドイル氏は、聴衆がこれまでにないほど「熱狂的」だったと描写。中間選挙やその先の次期大統領・議会選で民主党が勢力を強めたいと考えているテキサスをニューサム氏が訪れたことを評価した。
ドイル氏はインタビューで「28年大統領選に向けた事実上の選挙戦をヒューストンで開始するというニューサム氏の決断は、民主党が必要としている攻撃的で数学的に洗練された考え方を現場の多くの人々に示した」と述べた。
複数の民主党ストラテジストは、自らの立ち位置を確定し、トランプ氏の時代にどのような対抗軸を打ち出すかになお苦戦している同党に対する多くの党員の不満を、これらの州知事が巧みに取り込みつつあると分析する。
民主党系世論調査員のコーネル・ベルチャー氏は「民主党員に世論調査で、選挙で選ばれた公職者に最も望むことは何かと聞けば、その答えはトランプ氏(の暴走)の抑制だ」と説明した。
ベルチャー氏の目には、今の状況がオバマ元大統領の政治家としての躍進に重なるようだ。当時ほぼ無名だったオバマ氏は、イラク戦争への反対を通じて当時のジョージ・W・ブッシュ政権下で全国的な注目を集めるようになった。
これら民主党知事の知名度が上がるとともに、トランプ氏は「口撃」を強めている。ニューサム氏については「ニュースカム(知事の名前とクズを意味する英語を組み合わせた悪口)」とののしり、プリツカー氏は「狂人」「デブ」などと呼んでいるほか、ムーア氏は犯罪を抑制できていないと指摘した。
ホワイトハウスはロイターのコメント要請に対して共和党全国委員会(RNC)に問い合わせるよう求め、RNCはニューサム氏やプリツカー氏ら民主党の州知事は主流有権者とかけ離れた位置にいるとの見方を示した。





