トランプの「強硬策」が生んだ皮肉...民主党有力州知事3人が存在感
<注目度高いニューサム氏>
ニューサム氏がこのような政治状況を最も有効に活用しているのは間違いない。同氏は大統領選を目指す政治家にとって重要な主戦場となっているソーシャルメディアに、トランプ氏をからかう内容の投稿を繰り返している。
今月だけでも、トランプ氏が国際サッカー連盟(FIFA)から「平和賞」を受賞した件で、これは「参加賞」に過ぎないと切り捨て、閣議中に居眠りしているトランプ氏の様子を嘲笑するなど精力的だ。
7月には28年の大統領選で民主党予備選の最初の開催地となる公算が大きい南部サウスカロライナ州を訪れたほか、トランプ氏が代表団を送るのを拒否した国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)ではトランプ政権の経済・エネルギー政策を痛烈に批判して主役の1人になった。
ニューサム氏はインタビューで、28年の大統領選に出馬するかどうかは中間選挙後に決断するとしている。
同氏の政治顧問を務めるブライアン・ブローカウ氏は「多くの公職者はトランプ氏と彼のやり方にビクビクしている。しかしニューサム氏はそうでないと証明してきた」と主張した。
ムーア氏やプリツカー氏も負けていない。ムーア氏は5月にサウスカロライナの民主党夕食会で演説した後、6月には有力団体、全米黒人地位向上協会(NAACP)が激戦州の1つ、中西部ミシガン州で開催した会合でも発言した。先月にはトランプ氏に対抗する形でメリーランドの選挙区割りに関する独自案も打ち出した。
あるムーア氏の政治顧問は「トランプ氏流の統治のために、本来なら全国的な問題にならなかったかもしれない事案が全国レベルに切り上げられている」と述べた。
プリツカー氏は4月、やはり28年大統領選で早期に予備選が行われる可能性があるニューハンプシャー州でトランプ氏を強烈に批判する演説を行い、同時に民主党も「臆病だ」と苦言を呈した。6月にはミネソタ州の民主党夕食会で話題を集め、7月には激戦州の南部ノースカロライナ州で別の夕食会に参加した。
先月のロイター/イプソス世論調査によると、民主党支持者の64%がニューサム氏に好意的な意見だった。これに対し、回答者の半数以上がてプリツカー氏とムーア氏はよく知らないと回答しており、2人にとって全国的知名度獲得のための努力が必要なことが明らかになった。
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