コラム

同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つの理由

2025年03月07日(金)20時15分

この際、日本側は「すでに輸出規制で国内メーカーが悪影響を受けている」と難色を示したが、アメリカ側は「深刻な打撃ではない」と否定し、規制強化を拒否するなら日本企業に制裁を課す考えを示した。

こうして望むと望まざるとにかかわらずアメリカの戦略につきあう同盟国は日本だけではない。しかし、例えばヨーロッパの場合、先端技術で対中規制を強化する一方、米ハイテク企業ともしばしば対立してきた。


米ハイテク覇権の黙認

昨年9月、EU司法裁判所はAppleに追徴課税130億ユーロを課す判決を下した。同月、同裁判所はGoogleに対しても、「独占的地位を利用して競争を損ねた」として制裁金24億ユーロの支払いを命じた。

一連の判決は米ハイテク企業による税逃れや独占を浮き彫りにした。この問題は世界中どこでも発生しているが、日本政府は表立った対決を控えている。

(3)白人極右への寛容さ

第三に、国内では意識されにくいが、日本政府はトランプとイデオロギー的な摩擦が少ない。白人至上主義に特に口出ししない、という意味でだ。

大前提として、この点が現在トランプ政権と同盟国、とりわけヨーロッパとの大きな火種になっている。

白人極右は第一次政権時代からトランプのコアな支持基盤の一つで、2021年1月の連邦議会議事堂占拠事件にも数多くの極右活動家が参加した。これに対して、ヨーロッパの多くの国は白人極右の取り締まりを強めている。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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