コラム

同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つの理由

2025年03月07日(金)20時15分

白人極右は有色人種や異教徒に対する「白人世界の防衛」を掲げ、移民・難民に対する暴力や、現状打破のための「内戦」を扇動する者もある。

白人テロ発生件数はアメリカを含むいくつかの国でイスラーム過激派によるものを上回る。白人極右の多くはプーチンに親和的で、ドイツでは軍事機密をロシアに漏洩して逮捕・起訴された軍人もいる。


そのため多くのヨーロッパ各国は白人極右団体を国家安全保障上の脅威とみなし、イギリスなどではアメリカのいくつかの白人極右団体もテロ組織に指定されている。

ところが、当のアメリカでは過激な主張をする白人極右でも「表現の自由」や「武装する権利」を根拠にテロ組織に指定されていない。

このイデオロギー対立を反映して、2月中旬のミュンヘン安全保障会議でヴァンス米副大統領はウクライナ侵攻そっちのけで「脅威は身内にいる」と各国代表を罵倒した。

これに照らすと、そもそも「白人世界」ではない日本にとって、このイデオロギー対立はかなり縁遠い。

むしろ、日本政府が公式には「移民政策を考えておらず」、難民の受け入れにも特に熱心でないうえ、ヘイト規制や同性婚などに消極的であることは、トランプ政権からみれば好ましい部分といえる。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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